「……護衛? 彼女?」
それは一体誰の事を言っているんだ?
彼女と言ったら僕の中では、ベータの姿しか思い浮かばない。
でもベータは誰かに守られる事を望む子じゃない。だとしたら一体誰を?
「ほら、おいで」
クラウン様のその一言で、目の前の暗闇の中から、こちらに向かって歩いて来る足音が聞こえた。
そして僕は目の前に姿を現した彼女を見て目を見張った。
肩先で内巻きにされた金髪の髪に、酷く怯えたように揺れる緑色の瞳、そしてとても見覚えのある可愛い顔立ち。
「……セシル?」
僕は小さく彼女の名前を呟いた。
どうして彼女がここに居るんだ? だってクラウン様はセシルを殺したって……。
「違うよ、アルファ。確かに見た目と魂は、君の言った通りの物を使っている。でも彼女は俺の娘だ」
「……は?」
見た目と魂を使っているってどういう意味だ?
今僕の目の前に居るのは、確かにセシルだ。
でもクラウン様は違うと言った。
僕の娘だって言った。
「この子の名前はシエル。僕にとって大切な娘であって、僕の願いを叶えてくれる器さ」
「…………シエル」
その名前を呟いたと同時に、僕の頬に一滴の涙が伝った。
「あのね、私……大きくなったらね、アルファのお嫁さんになりたいの」
あの時の言葉が脳裏を過ぎった時、僕は床に片膝を付いて項垂れた。
この子はセシルじゃない。セシルじゃない……セシルじゃ――
「あのっ!」
「っ!」
今目の前にいる子はセシルじゃないと、そう自分に言い聞かせていた時、突然彼女の顔が目に飛び込んできた。
すると彼女は、とても心配した目で僕の事を見下ろしてきている。
「あの……大丈夫?」
そう言って彼女は優しい手付きで、僕の髪をそっと撫でてくれた。
「っ!」
ああ……やっぱりこの子は――
そう思った僕は何とか立ち上がって、真っ直ぐクラウン様を見つめた。
そして宣言するように、誓うように口を開く。
「クラウン様。僕はこの命に変えてでも、必ずシエル様を守ってみせます。クラウン様の……願いを叶えるためにも」
「ああ、期待しているよ。アルファ」
その言葉を聞いて、僕はバレないように歯を強く噛み締めた。
それは一体誰の事を言っているんだ?
彼女と言ったら僕の中では、ベータの姿しか思い浮かばない。
でもベータは誰かに守られる事を望む子じゃない。だとしたら一体誰を?
「ほら、おいで」
クラウン様のその一言で、目の前の暗闇の中から、こちらに向かって歩いて来る足音が聞こえた。
そして僕は目の前に姿を現した彼女を見て目を見張った。
肩先で内巻きにされた金髪の髪に、酷く怯えたように揺れる緑色の瞳、そしてとても見覚えのある可愛い顔立ち。
「……セシル?」
僕は小さく彼女の名前を呟いた。
どうして彼女がここに居るんだ? だってクラウン様はセシルを殺したって……。
「違うよ、アルファ。確かに見た目と魂は、君の言った通りの物を使っている。でも彼女は俺の娘だ」
「……は?」
見た目と魂を使っているってどういう意味だ?
今僕の目の前に居るのは、確かにセシルだ。
でもクラウン様は違うと言った。
僕の娘だって言った。
「この子の名前はシエル。僕にとって大切な娘であって、僕の願いを叶えてくれる器さ」
「…………シエル」
その名前を呟いたと同時に、僕の頬に一滴の涙が伝った。
「あのね、私……大きくなったらね、アルファのお嫁さんになりたいの」
あの時の言葉が脳裏を過ぎった時、僕は床に片膝を付いて項垂れた。
この子はセシルじゃない。セシルじゃない……セシルじゃ――
「あのっ!」
「っ!」
今目の前にいる子はセシルじゃないと、そう自分に言い聞かせていた時、突然彼女の顔が目に飛び込んできた。
すると彼女は、とても心配した目で僕の事を見下ろしてきている。
「あの……大丈夫?」
そう言って彼女は優しい手付きで、僕の髪をそっと撫でてくれた。
「っ!」
ああ……やっぱりこの子は――
そう思った僕は何とか立ち上がって、真っ直ぐクラウン様を見つめた。
そして宣言するように、誓うように口を開く。
「クラウン様。僕はこの命に変えてでも、必ずシエル様を守ってみせます。クラウン様の……願いを叶えるためにも」
「ああ、期待しているよ。アルファ」
その言葉を聞いて、僕はバレないように歯を強く噛み締めた。



