ヴェルト・マギーア 星の涙 ACT.2

「それに……」

「じ〜……」
 
さっきから僕の隣では、セシルがじっと僕の顔を見てきている。
 
そんなにじっと見上げられると居づらいんだけど……。

「ん? どうしたんだ、セシル。そんなにアルファの顔を見つめて」

「そ、それは……その」
 
セシルの様子に気がついたクロードさんが、セシルにそう尋ねると、彼女は顔を真っ赤にしてそっぽを向いてしまった。

その反応に僕は首を傾げた時、何故かクロードさんとクラウン様は体を固まらせていた。

一体どうしたのかと思った時、同時に二人が立ち上がって僕の前に立ちはだかった。

「……は?」
 
なんか嫌な予感がする、そう思った時僕の両肩を、クラウン様とクロードさんがそれぞれ力強く掴んだ。

「アルファ。一つ尋ねるけど、君は好きな子とかは居るのかな?」

「……へ?」
 
好きな……子? 

い、いきなり何を聞いてくるんだクロードさんは?!

「いや、兄さん。大丈夫だよ、アルファにはきっと好きな子はいないさ」

「お、おい! 父親としてそう断定つけるのはどかと思うぞ!」

「じゃあアルファ! 君には好きな子がいるのか?」

「そ、それは…………いませんけど………」
 
僕は顔を真っ赤にしながらそう応えた。
 
てか! 

僕は何でこの二人にこんな質問をされているんだ?! 

好きな子なんてこれまで出来たことなんかないさ! 

過去の事だってあるし、好きな子を作るのは怖いんだよ! 

裏切られるとか……僕はちゃんとその子を愛せるだろうとか、そんな事ばかり頭を過ぎってしまって……。

「だったらアルファ。俺の娘はどうかな?」

「…………えっ? 一体何がですか?」

俺の娘がどうってどういう意味? 

「ほら、クロード。そんなこといきなり言われても困るわよね?」

「えっ……あ、はい」
 
え、どういうこと? 

さっきからこの三人は僕に何を言っているんだ?