ヴェルト・マギーア 星の涙 ACT.2

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「く、クラウン……」

「やあ、クロード兄さん。久しぶりだね」
 
森の奥にあると言う、クラウン様のお兄さんのお屋敷を訪ねた僕たちではあったが、何故かクラウン様のお兄さんのクロードさんは、物凄くびっくりしたような顔を浮かべていた。
 
その表情を見た時、僕の中で嫌な予感が過ぎった。

「お、おまっ! また突然か!」

「えっ……今度の土曜日に会いに行くって言わなかったっけ?」

「いやいやいや! 何も聞いてねぇよ!!」
 
あ〜……やっぱりと内心そう思いながら、僕はクロードさんの姿を見て少し驚いていた。
 
顔立ちはクラウン様に似ていて整っている方だと思う。

でも雰囲気や性格はクラウン様とは丸っきり真逆だと思った。

クロードさんはクラウン様とは違って、しっかりしている人に見えたし、ちょっとかっこいい人とも思った。

「あら、クラウン君じゃない?」

「やあ、フィエリア。久しぶりだね」
 
すると今度はクロードさんの後ろから、とある女性が顔をひょこっと覗かせた。

その姿に驚いた僕は思わず後退した。

「お、女……」
 
ベータ以外の女性に慣れていない僕は、昔の事もあってかかなりの女性不信に陥っていた。

だから今目の前に居る人を見た瞬時に体が拒絶反応を起こして、僕は目の前の女性から距離を取った。
 
そんな姿にクロードさんと彼の後ろに居る女性は目を瞬かせた。

そしてクラウン様に問いかける。

「クラウン。その子は誰だ? 見たことがない子供だが」
 
クラウン様は僕の様子に苦笑していると、一度咳払いしてから僕を紹介し始める。

「彼はアルファだよ。ちょっと訳合って僕が養子として迎えた子の一人さ」

「あ〜、アルファか。前にお前が手紙に書いていた三人の子供の内の一人か」

「えっ……僕の事を知っているの?」
 
いや、その前に手紙ってなんだ?! 

もしかしてクラウン様は、僕たちの知らないところでこの人に色んな事を話しているんじゃ……。
 
するとクロードさんは、クラウン様の横を通り過ぎると僕の前まで歩いて来る。

「うっ……!」