ヴェルト・マギーア 星の涙 ACT.2

「これから会いに行く子は、確かに僕にとって大事な子ですよ。でもその子達は僕の子供ではないですよ」

「えっ?」
 
クラウン様は懐から手帳を取り出すと、とある二人の子供が映っている写真を見せてくれた。

一人は顔を真っ赤にしながらベッドで寝ている。

そしてその男の子の側に居る女の子は、無邪気な笑顔を浮かべながらこちらを見てきていた。

「……この子たちは?」
 
髪と瞳の色はクラウン様と同じ、金髪と緑色の瞳を持っていた。

てことはこの子たちは……。

「その子はね、僕の兄さんの子供なんだ」

「……えっ! クラウン様……お兄さんが居たんですか?!」

「うん、そうだよ。そんなに驚くことかな?」

「いや……だって」
 
そんな話し一度も聞いた事がなかった。

てっきり一人家族かとずっと思っていた。

「このベッドで寝ている男の子は長男の【ブラッド君】、そしてこっちに居るのが妹の【セシルちゃん】。二人共僕の甥と姪なんだ」

「……甥と姪」
 
やっぱりこの二人はクラウン様と血の繋がりがあるんだ。

甥と姪。

でも僕はクラウン様と血の繋がりはない。

僕は……クラウン様の本当の子供じゃ。

「でも血の繋がりがなくとも、アルファ、ベータ、ガンマは、僕の可愛い息子と娘たちですよ」

「っ!」
 
その言葉に僕は伏せていた顔を上げた。

そんな僕に気がついたクラウン様は、僕を安心させるために優しい笑みを浮かべてくれた。

その笑顔を見たら、また胸の辺りが温かくなった。

「それじゃあ行きますよ。彼等は街から少し離れた森の奥の屋敷に住んでいますから」

「わ、分かりました」
 
先に歩いて行くクラウン様の背中を見つめながら、僕は写真の中に映るセシルと言う女の子の姿を目に映した。
 
そして思わずこう思ってしまった。

「可愛い子……だな」
 
と――