ヴェルト・マギーア 星の涙 ACT.2

『どうしたのですか? オフィーリア』
 
うずくまる私の姿に気がついたのか、レーツェルは心配そうに私の側まで飛んで来る。

「……何でもないよ。ちょっと気分が悪いだけですから」
 
伏せていた顔を上げて、彼女に心配をかけまいと私は微笑した。

『そうですか……。あまり無茶はしないで下さいね。星の涙の発作も酷くなっているのですから』

「……うん」
 
レーツェルの言う通り星の涙の発作はここ最近多かった。

昨日だって発作を起こってしまって、私は意識を手放して倒れた。

そんな私をお兄様が運んでくれたおかげで、今は涼しい洞窟の中で休ませてもらっているところだ。

「レーツェル。お兄様はどこへ?」

『アルバでしたら情報集めに街へ行っています』

「街?」
 
こんな近くに街なんてあったんだ。

「どんな街なの?」

『水の都――スイレンです』 

「スイレン?」
 
初めて聞く街の名前だった。

【水の都】って呼ばれているなら、ルークスと同じく大都市の一つなのかな?

『時間があるならゆっくりと観光してみたいものですが、今回スイレンへ向かうことには理由があるんです』

「理由?」
 
彼女の言葉に首を傾げた時だった。

『魔剣マールの回収です』
 
その名前に私は目を見開いた。

前にブラッドが魔剣マールは魚人族のセイレーンが所持していると言っていた。

おそらくお兄様はセイレーンの情報を集めに街へ行ったんだ。
 
だったら私も……!

「レーツェル。私たちも行きましょう」
 
彼女にそう言いながら、丁寧に畳まれて置かれていたフードを掴んで羽織る。

『体の方は大丈夫なのですか?』

「……大丈夫です」
 
今はここでじっとしているよりも体を動かしたかった。

そうでないと……さっきの事が脳裏を過りそうで怖い。

「そうですか……では行きましょう」

「うん」
 
洞窟を出た私とレーツェルはスイレンに向かって歩き出した。