ブラッドたちの力になるためには、私にも主が必要だった。

しかし私の主はいつ現れるのかは分からない。

もしかしたら何十年、何百年と掛かるのかもしれない。

だが三百年後までには必ず、私は主を見つけ出してみせる。

もうここで座って待っているわけにも行かないからな。
 
それにここに居る事で、あいつの行動を見張る事だって出来る。

また変な事をしようとした時は、今度こそ止めてみせる。

「分かった、サファイアの意思を尊重する。だから俺もこの三百年の間に、お前の主となれる人物を探し出すって約束するよ」

「……良いのか?」

「ちょうどお前の力をただで借りる訳には行かないと、そう思っていたところなんだ。お前の主になれる候補者なんて直ぐに見つけてやる」
 
そう意気込むブラッドに少し申し訳ないと思いながら、私は腕を組んで言う。

「おい……まさか私がさっき言ったことを忘れたわけじゃないよな? 私が主として希望するのは氷国の出身の者、そして王家の血を引いている者だけだ。それ以外の主候補を連れて来たら、その時は氷漬けにされると思っとけよ」

「わ、分かってるって」
 
ブラッドは顔を青くすると、床に転がっている凍死体たちに目を配った。

そんなブラッドが少し面白く見えた私は軽く笑った。

本当にこいつは……トトには似ていないな。
 
このことがきかっけで、後に私はカレンと出会う事になるんだけど、それはまた別の話になる。