ヴェルト・マギーア 星の涙 ACT.2

もしそんな二人にブラッドとオフィーリアがなれると言うのなら、私はこの目で見届けてやりたいと思っていた。

しかしオフィーリアは……。

「俺はこの件が全て片付いたら、オフィーリアの意思を継ごうと思っている」

「オフィーリアの意思だと?」

「オフィーリアはきっと誰よりも、守護者たち全員が集まる事を願っていた。エアと守護者たちが交わした約束を果たさせてあげたいと思っていたはずだ。だから俺はそんなオフィーリアの願いを叶えてあげたいと思っている」
 
ブラッドはそう言うと首から下げられている守護石を優しく掴んだ。

「魔剣は全て俺が集めてみせる。オフィーリアが成し遂げようとしていた、エアと守護者たちが交わした願いのために。そして俺は必ず」
 
守護石から手を放したブラッドは、真剣は瞳を浮かべると私たちに宣言する。

「俺が必ずオフィーリアを生き返らせる」

「っ!」
 
その言葉に私たち三人は目を見張る。
 
死んだ人間を生き返らせるだと? 

そんなこと可能なわけが……。

とそう思った時、私はある人物の存在を思い出した。

しかし直ぐに断定付けるわけに行かなかった私は、ブラッドに問いかける。

「何か方法でもあるって言うのか?」

「ああ、だからお前の力を借りたいんだ」

「私の力を?」
 
ブラッドは自分の目の前に手をかざすと、私たちの目の前にとある大きな水晶を出現させた。

そして中に人影らしき物が見える。

私はじっと水晶の中を見つめた時、中に居る人物を見て目を見張った。
 
水晶の中には祈るように手を組まれた女性が、安らかに眠るように目を閉じていた。

そして彼女の髪色が白銀だった事に気がついた私は、ブラッドへと確認を取る。

「彼女がオフィーリアか?」

「ああ、そうだ」
 
ブラッドは躊躇うことなく言ってのけると言葉を続ける。

「水晶の中に居るのはオフィーリア。あの時……死んだ直後のままで時間を止めて、彼女の体をこの水晶の中に閉じ込めた。でも俺の力だけじゃ、完全にオフィーリアの体を保つ事は出来ない。だからお前の氷結の力を借りたいんだ」

「……なるほど。私の氷結の力である永久凍土(ぺーマフロスト)の魔法を使って、彼女が生き返る準備が出来るまでの間、体を元の状態で保っておきたいってことか」
 
私の言葉にブラッドは大きく頷く。
 
永久凍土の魔法については、きっとレーツェルから聞いたのだろう。

だからこの男は私の力を求めてここまで来た。

「確かにその考えは悪くない。しかしお前が自分の寿命を迎えるまでに、この女を生き返らせる事が出来るって言うのか?」