「そうですね。お二人はお互いに顔を合わせる度に、こうして良く睨み合っていました。特にアムール様はサファイアに毎日のように喧嘩を売ったりしていて」
と、ニコニコと語る彼女は私たちを止める素振りは一切見せない。
それどころかいつも通りにただニコニコと微笑んで、私たちのことを見守っている。
「……はあ」
私は軽く息を吐いてからブラッドと言う男に向き直った。
こんな奴とくだらない喧嘩をしているよりも、まずは話を先に進めた方が良い。
「ブラッド、と言ったか。お前がこの男の主だって言うのか?」
「ああ、そうだ」
ブラッドは迷うことなく断言すると頭を縦に振った。
そんなこいつの姿を私は上から下まで見下ろした。
外見は普通の人間と違ったところは見られない。
ただ変わっているところがあるとすれば、こいつの体内にある雫に収められている魔力量といったところか。
こいつの魔力量は普通の人間が持っている魔力量を遥かに上回っている。
普通の人間なら間違いなく死んでいる量だ。
だがこの男は平気な顔をしてこの場に立っている。
それに魔力もちゃんとコントロールしているようにも思える。
この部屋に簡単に入って来たこと、アルとレーツェルがこの男を認めていること、そして膨大な魔力を内に秘めていること、この男こそが私たちが仕えるに値する人間だって言うのか?
だが……。
「お前に一つ聞く。この女男野郎の主がお前だって事は分かった。では、レーツェルの主はどうした? 彼女の目が覚めているって事は、レーツェルにも主が別に居ると言うことになる。この場には来ていないのか?」
その時だった。
私の質問に対して、ブラッドは両拳に力を込めると体から殺気を放った。
そしてとても悔しそうに歯を噛みしめると、ギュッと目を閉じて視線を床に投げる。
その姿に私は警戒しながら思わず後退ってしまった。
一体どうしたって言うんだ?!
ブラッドの様子が突然変わった……。
空気が物凄く重い。
私はブラッドからレーツェルへ視線を移動させると、彼女もまた辛そうに表情を歪め目尻に涙を浮かべていた。
その姿に私は目を見張ったと同時に、ある予想が私の頭を過ぎった。
と、ニコニコと語る彼女は私たちを止める素振りは一切見せない。
それどころかいつも通りにただニコニコと微笑んで、私たちのことを見守っている。
「……はあ」
私は軽く息を吐いてからブラッドと言う男に向き直った。
こんな奴とくだらない喧嘩をしているよりも、まずは話を先に進めた方が良い。
「ブラッド、と言ったか。お前がこの男の主だって言うのか?」
「ああ、そうだ」
ブラッドは迷うことなく断言すると頭を縦に振った。
そんなこいつの姿を私は上から下まで見下ろした。
外見は普通の人間と違ったところは見られない。
ただ変わっているところがあるとすれば、こいつの体内にある雫に収められている魔力量といったところか。
こいつの魔力量は普通の人間が持っている魔力量を遥かに上回っている。
普通の人間なら間違いなく死んでいる量だ。
だがこの男は平気な顔をしてこの場に立っている。
それに魔力もちゃんとコントロールしているようにも思える。
この部屋に簡単に入って来たこと、アルとレーツェルがこの男を認めていること、そして膨大な魔力を内に秘めていること、この男こそが私たちが仕えるに値する人間だって言うのか?
だが……。
「お前に一つ聞く。この女男野郎の主がお前だって事は分かった。では、レーツェルの主はどうした? 彼女の目が覚めているって事は、レーツェルにも主が別に居ると言うことになる。この場には来ていないのか?」
その時だった。
私の質問に対して、ブラッドは両拳に力を込めると体から殺気を放った。
そしてとても悔しそうに歯を噛みしめると、ギュッと目を閉じて視線を床に投げる。
その姿に私は警戒しながら思わず後退ってしまった。
一体どうしたって言うんだ?!
ブラッドの様子が突然変わった……。
空気が物凄く重い。
私はブラッドからレーツェルへ視線を移動させると、彼女もまた辛そうに表情を歪め目尻に涙を浮かべていた。
その姿に私は目を見張ったと同時に、ある予想が私の頭を過ぎった。



