彼の冷たい指先が頬に触れた時、ビクッと肩が上がった。

不気味に輝かされる右目に見つめられて、すうっと意識が飲み込まれかけた時、私は彼の手を払い除けた。
 
クラウンは驚いて瞳を丸くしながら、払い除けられた手を見下ろした。

そんな彼を睨みつけながら私は口を開く。

「あなたの目的は何ですか!? 星の涙を欲していると言うのに、私を狙う理由は何ですか!」
 
これはずっと疑問に思ってきた事だった。

星の涙を狙っているクラウンはどうして私までも狙うのか。

星の涙だけが欲しいなら私と言う存在は要らないはずなのに……。
 
私の問いかけにクラウンは微笑した。

そしてまるで愛しい者を見つめるかのような目つきで私に視線を戻す。

「それは……君が特別な存在だからだよ」

「……特別な存在?」
 
その言葉に首を傾げかけた時、クラウンは私の手首を掴むとぐっと自分の方へと引き寄せた。

「い、いや!」
 
クラウンの顔が近くになり私は直ぐに目を逸らす。

こんな奴から一刻も早く離れたいのに、手首を強く掴まれてしまっているせいで離れる事が出来なかった。

「そう、君は特別な存在なんだよ。この世界は君が居なくては成り立たないからね」

「そ、それは……どういう意味ですか」

「ふっ。その話しは君が俺の元へ来てくれるなら話してあげてもいい。それにこの世界にとって特別な存在である君に釣り合うのは、俺だけなのだからね」
 
クラウンはそう言ってほくそ笑むと、私の唇に強引なキスを落としてきた。

「んんっ!」
 
えっ…………今、何が起こっているの? 

直ぐ近くに目を瞑っているクラウンの顔がある。

そして私の唇には彼の唇が押し当てられている。
 
それを見て頭の中が真っ白になっていく中で、クラウンは私に追い打ちをかけるように更に深い口付けを落とす。