ヴェルト・マギーア 星の涙 ACT.2

「いつかみんなとまた――」
 
そんな約束をしたのは、今からもう何年前の話になるだろうか? 

いや……そもそも何年前と言う年数でもないか。

「はあ……」
 
そっと息を吐いて閉じていた目を開く。

変わる事のない景色が目の前に広がり、私(オレ)は自分の手のひらを見下ろした。

「まったく、魔法協会の奴らも懲りないものだな」
 
私をこんなところに閉じ込めたって、あいつらが私の力をコントロール出来るはずがないと言うのに。

現にこの部屋には何人もの凍死体がゴロゴロと床に転がっている。

それは全て私の力によって殺された者ばかりだ。
 
この内に秘められし【氷結の力】が、主ではない者を殺そうとして力を発動させる。

それは今の私でも抑える事の出来ない物だ。

こんな風になってしまってからは、以前よりも氷結の力を抑える事が難しいんだ。
 
そのせいで魔法協会の奴らも怖がって、この部屋に自ら入って来ようとはしない。

まあ……ある男を一人除いてだけどな。
 
そして奴らは私がその力を使って逃げ出さないようにと、手首や足首に枷を付けて拘束していた。

私がその気になれば、こんな枷くらい簡単に凍らせて壊す事は出来る。

しかし主が居ない現状で、私は外に出る気を一ミリも持ち合わせていなかった。
 
今になって外に出たところで色々と面倒なだけだからな。

きっとあいつらにそう説明しても、聞く耳は持たないだろう。
 
他の守護者たちの行方は気になるが、私が探し出せる守護者はたった一人だけだ。

「【コスモ】は……まだ目覚めていないのか」
 
気が向いた時にはあいつの魔力を探って、目が覚めたかどうかを確認している。

しかし魔力を感じられないって事は、あいつはまだ目が覚めていないんだろう。
 
少し遅すぎじゃないのか? そう思いながらあいつと交わした約束の事を思い出し、自然と軽い笑みがこぼれた。

「確かマールは目が覚めているんだよな?」
 
前にあの男がそんな事を言っていた気がする。

直接この目で見て来たとも言っていたが、果たして事実なのだろうか? 
 
どちらにしろ主のいない私は、この状況ではいつ外に出られるか分からないからな。

マールと合流するにしても、あいつは今海の中に居るっていうじゃないか。

さすがの私でも海の中まで行くのは――

「お前が氷の女神か?」

「――っ!」