「ここは……」
 
まさかこの赤く丸印がされている場所が、あの人たちのアジトだって言うんですの? 

しかし赤く丸印がされている場所は、彼女が指をさしている場所以外にも数箇所に存在している。

でもそのどれもが既に全て黒い☓印が上から押されている。

「僕と兄上はここ数ヶ月、密かに彼等のアジトを潰して回っていました。なのでここがクラウンの最後のアジトになります」

「……随分と根回しが早いのですね。あなた方にとってクラウンは何の関係もないはずですが、ここまでしてあなた達は一体何を狙っていると言うんですの?」

わたくしの言葉にウリエルは軽く目を細める。

そんな彼女から目を一切逸らすことなく、絶対に言うまで帰さないと言う強い意思を見せた時、彼女は開いていた地図を閉じると口を開く。

「全てはこの先の未来のためですよ」

その言葉にわたくしは目を瞬かせた。

まさかこの子から【未来のため】なんて言う言葉が出てくると思ってもいなかったから。
 
しかしこの先の未来のためとは一体どういう意味ですの?

「この先の未来のために、あなた方はブラッド様を使おうとしているのですか?」

「そうですよ」
 
彼女もまたミカエル同様、考える素振りを一切見える事なくあっさりと言ってのける。

「ほんと……恐ろしい兄妹ですわね」
 
きっとミカエル様には全てこうなる事が分かっていたのですね。

きっとこれから何が起こるのかも、あの人は全て把握しているに違いない。

「分かりました。お受けいたしましょう」

「助かります。あと、もう一つあなたにお願いしたい事があります」

「もう一つですって? クラウンの後を追う以外に何があるって言うんですの?」