ヴェルト・マギーア 星の涙 ACT.2

「クリエイト……!」
 
アルは元の姿に戻るとクリエイトを睨み付けた。

「お前……それをあいつのところに持って行く事の意味が分かっているのか! お前は自分でこの世界のエアを殺そうとしているんだぞ!」
 
その言葉にクリエイトは手の中にある星の涙の欠片を見下ろす。

そして何故か寂しそうな表情を浮かべた。

「クリエイト。お前は俺たち守護者の中で、誰よりもエアの事を思っているはずだ。だから俺たちと一緒に来い! あんな奴をトトにしたって、世界は滅びるだけなんだぞ!」
 
アルはクリエイトに右手を差し出した。

しかしクリエイトは頭を左右に振ると、俺たちに手をかざした。

「それは……出来ない。これは……私が……僕が最後まで……見届けないといけないこと……だから」
 
その言葉にアルは目を見張る。

クリエイトはアルから俺に視線を移動させると問いかけた。

「君は……言った。俺がこの世界の……トトになると」

「……ああ、言った。あんな奴がトトになるくらいなら、俺がこの世界のトトになる。彼女が……オフィーリアが幸せになれる世界(みらい)を作るために」
 
そう覚悟を決めてクリエイトを言い放った時、クリエイトは俺の言葉を聞いてから軽く笑みを浮かべた。

その笑顔は喜んでいると言うよりも、どこかホッとして見えるような笑顔だった。

「もう……君は……トトだよ」

「そ、それはどういう……」
 
俺がもうトトってどういう意味だ? 

その理由をクリエイトに訪ねようとした時、彼は俺の右目を指していた。

「……右目?」
 
そして同時に彼は後ろに後退した。

「でも……これは渡せない」

「っ! 待て!」
 
クリエイトに手を伸ばしかけた時、彼は最後に微笑むとその場から姿を消した。

「――っ!」
 
星の涙の欠片を持って行かれた……。

これじゃあ……オフィーリアは……!
 
震える体を必死に抑えながら、両拳に力を込めて唇を噛んだ。