「私は……僕は……認めない。そんな男が……トトだなんて」

そう言ってクリエイトは俺の事を睨みつけてきた。
　
初めて会ったって言うのに、酷く嫌われたものだな。そう思いながら俺は一歩前に出た。

「悪いけどな、俺はこの世界のトトになる気なんて、これっぽっちも持ち合わせていないんだ。エアの願いとか正直どうでも良いと思っているところだ」
　
俺の言葉にクリエイトは【やっぱり】とでも思ったのか、表情を歪めると強く歯を噛み締めていた。

「なぜ……未来は……お前をトトに選ぶ？　そんなこと……僕は絶対に認めない……！」
　
未来が俺をトトに選ぶ？　いったい何の話だ？　そう思いながら俺は口を開く。

「エアの願いなんかのために、オフィーリアの命だけは絶対に渡さねぇ！　俺はエアなんかよりも、オフィーリアの事が世界で一番大切なんだ！」

「ブラッド……」
　
その言葉にオフィーリアは目尻に涙を浮かべた。

そんな彼女に優しい眼差しを送った俺は、再びクリエイトへと視線を戻す。

「……やっぱり……お前じゃない！　お前は……エアの願いを叶えては……くれない！」
　
クリエイトは元の魔剣の姿に戻ると、こちらのやり取りを何も言わずじっと見ていたクラウンの手の中に戻った。

「クリエイト！」
　
そんなクリエイトを追いかけようとしたレーツェルを、アルは彼女の手首を掴んでやめさせる。

「レーツェル……」
　
アルは彼女に頭を左右に振って見せた。

それを見たレーツェルは瞳を大きく揺らしながら視線を下に投げる。

そんな二人の姿を横目で見ていた俺は、再び視線の先をクラウンへと戻した。

「記憶を全部取り戻した以上、もうお前の思い通りになるつもり何てねぇ。オフィーリアが居なければ、お前がこの世界のトトになる事もねぇんだから、とっとと諦めたらどうだ？」
　
そうだ。オフィーリアが俺の側に居る限り、クラウンがこの世界のトトになることはない。

そうすればあいつの企みだって全部潰す事が出来る。
　
すると黙って俺の言葉を聞いていたクラウンは、額に手を上げて前髪をかき上げると高笑いを上げた。

その姿に俺たち四人は目を見張った。