表向きではエアがこの世界を作り直したって言い伝えられているが、それは魔剣クリエイトの本来の力を隠すためだったのかもしれない。

『へえ……君って思っていたよりも……よく物事を考えられる人……なんだね』
　
頭の中に魔剣クリエイトの声らしき物が流れた。

どうやらそれは俺だけでなく、この場に居る全員に呼びかけたみたいだった。

『クリエイト……！　本当にクリエイトなんですね！』
　
レーツェルは元の姿に戻るとクリエイトに問いかけた。

「なぜ、そんな者の元に居るんですか！　なぜクラウンを主に選んだんですか！」
　
クリエイトもクラウンの手の中からすり抜け出ると、レーツェル同様に元の人間の姿に戻った。
　
人間に戻った拍子にヴァイオレット色の短髪が揺れ、頭のてっぺんには黄色のカチューシャが付けられている。

そして首、両手首両足首には紺色に光る宝石が埋め込まれた、チョーカーらしき物がはめられていて、クリエイトは閉じていた左目を開くと、スピネル色の瞳に俺たちの姿を映した。

「レーツェル……久しぶりだね。あの時……いらいかな？」

「クリエイト……！　私の質問に応えてください！　あなたは……いったいどうして！？」

「クラウンなら……エアの願いを……叶えてくれるから」
　
アルも元の姿に戻ると、目を細めてクリエイトの姿を見上げていた。

その存在に気づいたクリエイトも、視線の先をアルへと映した。

「クリエイト。お前は本当にそう思っているのか？　そんな奴がエアの願いを叶えてくれると、本気でそう信じているのか！」
　
アルのその言葉にクリエイトは迷うことなく頭を縦に振って見せる。

その姿にレーツェルとアルは目を見張った。
　
そんな二人を余所にクリエイトは今度俺の姿を瞳に映すと、真っ直ぐ人差し指を向けてきた。