「くそ!」
 
オフィーリアを追って崖を飛び降りた時、崖底は真っ暗で何も見えない状態だった。

そのせいでオフィーリアがどこに居るのか分からなかった。

「こんなところで諦めてたまるか!」
 
俺はオフィーリアに言いたい事がたくさんあるんだ! 

そうだな、まずは説教……からじゃなくて謝る事からしたいんだ! 

そんでその後は軽く説教してから、俺がこの二ヶ月で見つけた場所に連れて行ってあげたい。

この先もずっと隣で一緒に、未来へ歩んで行きたいことも伝えたい。

だからこんなところで絶対に諦めるわけには行かないんだよ!
 
俺は右目に魔力を注いでオフィーリアの居場所を突き止めよとした。

しかしその時だった。

「――ブラッド!!!」

「っ!」
 
オフィーリアの俺を呼ぶ声が聞こえた瞬間、星の涙の青白い輝きが彼女の居場所を教えてくれた。

俺はそのまま空中浮遊(レビテーション)の魔法で、輝きが放たれている場所へ飛んでいく。
 
そして彼女の手を力強く掴んだ。

「オフィーリア!」
 
俺の声にオフィーリアはギュッと閉じていた目を開けた。

彼女の体を自分の元へ引き上げから力強く抱きしめる。

「オフィーリア……遅くなってごめん! ほんとにごめんな!!」
 
その言葉にオフィーリアは俺の頭を左右に振ってくれた。
 
ああ……オフィーリア。腕の中には間違いなく彼女の存在がある。

幻でも何でもない、本物のオフィーリアがちゃんとそこにはいた。
 
俺たちはどちらからでもなくお互いの唇を重ねた。

でも俺は一回では満足出来なかった。
 
彼女の頬を両手で包み込み、もう一度深い口づけを落とす。

角度を変えて何度も何度も。

オフィーリアもそんな俺に応えてくれるように、背中に回された腕に力を込めてくれた。
 
そして唇を一旦離した俺たちはお互いの顔を見つめ合い、温もりを確かめるようにもう一度抱きしめあったのだった。