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「レーツェルが居るのはこっちだ」
 
アルを先頭に俺たちはレーツェルの元へ向かっていた。

そしてその先にはオフィーリアの魔力も感じ取っていた。

「オフィーリア……」
 
この先にオフィーリアが居る! ようやく……ようやくもう一度会う事が出来るんだ。

「っ! ……ブラッド、お前は先に行け!」

「どうしたアル?」
 
アルは何かを感じ取ったのか、こちらを振り返る。

「レーツェルたち以外にも、もう一つ強力な魔力の存在がある。俺はそっちへ行くから、お前は急いで行くんだ」
 
その言葉に頷いた俺はアルとその場で別れ、真っ直ぐ魔力を感じる元へと走り続ける。

「待ってろ、オフィーリア!」
 
森を抜けると開けたところに出て、景色は一変した。

森を抜けると目の前には崖が広がっていた。

「景色が……変わった?」
 
まさかこれもクリエイトの力の一つなのだろうか? 

崖だった場所を森として見せる事で、この研究施設を見つけられないようにしていたのだろう。
 
そんな事を考えながら走り続けると、目の前の崖先にレーツェルの姿を見つけた。

「レーツェル!」
 
そして彼女の後ろにはオフィーリアの姿もあった。

その姿を見て無事だった事にホッとした時だった。

突然、右目が強く反応した。

「っ!?」
 
するとどこからか放たれた闇の玉がレーツェルの隣を通り過ぎると、それはオフィーリアが座り込んでいた場所に直撃した。

「なっ!」
 
そのままオフィーリアが座り込んでいた場所が崩れ落ちると、オフィーリアの体が崖へと傾き、レーツェルは慌てて彼女に手を伸ばしている。
 
しかしお互いの手は届くことはなく、オフィーリアは崖底へと落ちて行ってしまった。

「オフィーリア!」
 
レーツェルが彼女の名前を呼ぶ声が聞こえた時、俺は両足に魔力を注ぎ思い切り足を踏み込んだ。

そしてそのままレーツェルの隣を通り過ぎ崖先から飛び降りた。