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ああ……落ちていく。

深い暗闇の中に落ちて行くのを肌で感じながら、意識が少しずつ遠のいていく。
　
もうブラッドに会う事は叶わない。

きっとこのまま私の体は地面に強く打ち付けられて、そのせいで死んでしまうだろう。

おそらく即死だと思う。
　
そんな考えが頭の中を過ぎった時、また涙がたくさん溢れた。

ほんと……私って泣き虫だ。
　
レーツェルの言う通り私は、ブラッドに出会う前の泣き虫の私に戻ってしまった。

泣き虫だったあの頃の私に……。
　
このまま諦めて死ぬ事を受け入れてしまえば、きっと楽になれる。

あらゆる事からようやく開放されるのかもしれない。

「でも……」
　
私は閉じていた目を開けて、上に向かって手を伸ばした。

「やっぱり……諦めたくない！」
　
もう一度彼と再会出来るまで、あなたの温もりを感じるまで諦めるわけには行かない！

「ブラッド……」
　
ブラッド…ブラッド……ブラッド！

「ブラッド！！！」
　
彼の名前を叫ぶように呼んだ時、星の涙から青白い光が放たれる。

そして私の伸ばしてた手を誰かが力強く掴んでくれた。

「――っ！」
　
そして聞こえた。

「オフィーリア！」
　
彼の……愛しい人が私の名前を呼ぶ声が。

「……っ。ブラッド……！」
　
ブラッドの姿が目に飛び込んできた時、ぶわっと涙が零れた。
　
幻でも夢でもない。

確かに彼はそこに居て、私の手を絶対に離さないように掴んでくれている。
　
ブラッドは私の体を引き上げると、そのまま宙を浮きながら力強く抱きしめてくれた。

「オフィーリア……遅くなってごめん！　ほんとにごめんな！！」

「ううん……良いの。……私の方こそ……ごめんなさい！」
　
私はブラッドの背中に腕を回し、彼の温もりを求めた。

ブラッドもそれに応えてくれるように、抱きしめる腕に力を込めた。

「ブラッド……本当にブラッドなんですよね？」

「ああ……俺だよ」
　
私は彼の存在を確かめるように、そっと頬に手のひらを当てた。

ブラッドは私の手の上に自分の手を重ねると頬を擦りせた。

その姿に私は優しく微笑する。
　
そして私たちはどちらからでもなく、目を閉じてお互いの唇を重ねた。