でも今は違う。
今はブラッドのおかげでもう一度人を信じようと思えるようになった。
もしかしたら今度こそ……あの魔法を――
「オフィーリア。これでもう大丈夫です。一刻も早くここから立ち去りましょう」
「う、うん。分かりました」
そうだ。
今は一刻もここから離れてブラッドと合流しなければ、いつクラウンがここにやって来るか分からない。
そんな事を考えながら、レーツェルから差し出された手を取ろうとした時だった。
「――っ!」
どこから飛んで来たのか、突如闇の玉がレーツェルの横を通り過ぎた時、それは私の座り込んでいる場所に直撃した。
「えっ……?」
私の座り込んでいる場所全域にヒビ割れが走ると、それは崖底に向かって崩れ落ち始める。
「っ! オフィーリア!」
そのせいで私の体は、再び崖底に吸い込まれるかのように後ろに傾いた。
レーツェルは直ぐに私の手を取ろうと必死に手を伸ばした。
私もその手を何とか掴もうとして腕を伸ばしたが、結局お互いの指先が掠っただけで手を掴む事は叶わなかった。
「オフィーリア!!」
そのまま私は崖底に向かって落ちていった。
✭ ✭ ✭
「オフィーリア!」
手が届かなかった。
あと少しでオフィーリアを彼に会わせてあげる事が出来たのに……!
こんな……!
「っ!」
諦めるわけには行かない! 今から追いかければオフィーリアを助ける事が出来ます!
例えこの身がどうなろうとも、オフィーリアを救うことが出来るなら!
私は覚悟を決めて自分の体に守護の精霊たちの力をまとわせた。
そしてオフィーリアの後を追いかけて自分も飛び降りようとした時だった。
「待て! レーツェル!」
「えっ?」
突然強く右肩を捕まれて体ごと後ろに引っ張られた。
振り返るとそこには、焦った表情を浮かべるアムール様の姿があった。
「あ、アムール様……」
「馬鹿なことはやめろ! あいつに任せるんだ!」
その言葉と共に私の横を彼が通り過ぎて行き、迷うことなく崖底に飛び降りていった。
私たちはその姿を見届け、私はホッとして息を吐く。
「ごめんなさい、アムール様。私……」
アムール様は私の体を抱き寄せると強く抱きしめてくれた。
「俺が言えたことじゃないけど、あまり無茶だけはしないでくれ。いくら一度死んで魔剣として生きる事が出来ているとしても、【命の宝石】が壊されてしまえばもう一度死ぬ事になるんだ」
「……はい」
アムール様に心配をかけさせてしまった事に申し訳ないと思いながら、私は小さく頷いてみせた。
そしてブラッドが飛び降りていった先へ視線を送った。
大丈夫……彼が行ったならきっと――
私は身をアムール様に委ねながら、二人が無事に戻ってくる事を祈る事しか出来なかった。
今はブラッドのおかげでもう一度人を信じようと思えるようになった。
もしかしたら今度こそ……あの魔法を――
「オフィーリア。これでもう大丈夫です。一刻も早くここから立ち去りましょう」
「う、うん。分かりました」
そうだ。
今は一刻もここから離れてブラッドと合流しなければ、いつクラウンがここにやって来るか分からない。
そんな事を考えながら、レーツェルから差し出された手を取ろうとした時だった。
「――っ!」
どこから飛んで来たのか、突如闇の玉がレーツェルの横を通り過ぎた時、それは私の座り込んでいる場所に直撃した。
「えっ……?」
私の座り込んでいる場所全域にヒビ割れが走ると、それは崖底に向かって崩れ落ち始める。
「っ! オフィーリア!」
そのせいで私の体は、再び崖底に吸い込まれるかのように後ろに傾いた。
レーツェルは直ぐに私の手を取ろうと必死に手を伸ばした。
私もその手を何とか掴もうとして腕を伸ばしたが、結局お互いの指先が掠っただけで手を掴む事は叶わなかった。
「オフィーリア!!」
そのまま私は崖底に向かって落ちていった。
✭ ✭ ✭
「オフィーリア!」
手が届かなかった。
あと少しでオフィーリアを彼に会わせてあげる事が出来たのに……!
こんな……!
「っ!」
諦めるわけには行かない! 今から追いかければオフィーリアを助ける事が出来ます!
例えこの身がどうなろうとも、オフィーリアを救うことが出来るなら!
私は覚悟を決めて自分の体に守護の精霊たちの力をまとわせた。
そしてオフィーリアの後を追いかけて自分も飛び降りようとした時だった。
「待て! レーツェル!」
「えっ?」
突然強く右肩を捕まれて体ごと後ろに引っ張られた。
振り返るとそこには、焦った表情を浮かべるアムール様の姿があった。
「あ、アムール様……」
「馬鹿なことはやめろ! あいつに任せるんだ!」
その言葉と共に私の横を彼が通り過ぎて行き、迷うことなく崖底に飛び降りていった。
私たちはその姿を見届け、私はホッとして息を吐く。
「ごめんなさい、アムール様。私……」
アムール様は私の体を抱き寄せると強く抱きしめてくれた。
「俺が言えたことじゃないけど、あまり無茶だけはしないでくれ。いくら一度死んで魔剣として生きる事が出来ているとしても、【命の宝石】が壊されてしまえばもう一度死ぬ事になるんだ」
「……はい」
アムール様に心配をかけさせてしまった事に申し訳ないと思いながら、私は小さく頷いてみせた。
そしてブラッドが飛び降りていった先へ視線を送った。
大丈夫……彼が行ったならきっと――
私は身をアムール様に委ねながら、二人が無事に戻ってくる事を祈る事しか出来なかった。



