ヴェルト・マギーア 星の涙 ACT.2

「大丈夫ですよ、オフィーリア。あなたは一人じゃないんですから」

「……一人じゃない?」
 
彼女の声を初めて聞いた時はとてもびっくりして、怖くなった私は大声を上げて泣き始めてしまった。

そんな私に慌てたレーツェルは、元の姿に戻るとギュッと力強く私の手を握ってくれた。

「オフィーリア。怖かったですよね? ごめんさない……泣かせるつもりはなかったんです」
 
彼女の慌てている姿を見て、思わず私は泣くことをやめてしまっていた。

そしてギュッと力強く握りしめられた手を見下ろした。
 
お兄様から魔剣について話を聞いた事はあった。

魔剣とはエアが選んだ守護者たちの事を言い、その存在たちは死ぬ事によって魔剣となり、恩恵を受けてこの世に落とされたと。
 
だから私はレーツェルの手は冷たいんだと思っていた。

でも今握ってくれている彼女の手からは確かに温もりを感じられた。

とても死んでいる人には見えなくて、魔剣の姿となっているこの人も、ちゃんと生きているんだと実感させられた。
 
治癒魔法を掛け終えたレーツェルは立ち上がると、こちらの様子を伺っているアルファを睨みつけた。
 
アルファはかざしていた左手を下ろすと、自分を睨みつけてきている彼女の姿を上から下まで見下ろした。

「まさかオフィーリアさんが持っていた剣が魔剣だったなんて、これは驚きですね」
 
その言葉にレーツェルは軽く目を見張ると、直ぐにアルファに問いかけた。

「私の姿を見てもあまり驚かないんですね。まさか魔剣が人に変わる場面を一度でも見たことがあるんですか?」

「まあ驚く必要ないですからね。確かに君の言う通り、魔剣が人間の姿になるのを見るのは、これが初めてじゃない。もう何十回と言っていい程見せられましたよ」

「何十回……ですか?」
 
そのとき私は魔剣クリエイトの存在を思い出して、慌ててレーツェルの顔を見上げた。

「レーツェル! クラウンのところに魔剣クリエイトの姿がありました!」

「っ!」
 
魔剣クリエイトの名前を聞いたレーツェルは、地面に座り込んでいる私へと目を戻した。

そして信じられないとでも言うように、酷く瞳を揺らしていた。