ヴェルト・マギーア 星の涙 ACT.2

私は体を引きずりながら、少しずつ前へと前進していく。

そんな私の姿を見ていたアルファは、呆れたように深々と溜め息を溢しながら左手の上に闇の玉を作り出す。

「はあ……忘れていました。君って諦めも悪かったっけっ!」
 
アルファは闇の玉を四つ作り出すと、それを一発ずつ重みを付けて私の体に当てていった。

「ああっ!」
 
重い一撃が全身に響き一瞬意識を飛ばしかける。

そして視界がぼやけて手が震えた。

「ほらほら! 早く逃げないと体が保たないんじゃないですか?」
 
アルファはどんどん闇の玉を作り出すと、容赦なく私の体に打ち込んでいく。

「ぐあっ! ……あっ……うっ……ああああ!!」
 
次々と襲い掛かってくる激痛に、私は目尻に涙を浮かべた。

その中の一撃が勢い良く頭を掠めた時、擦れた傷から血が頬を伝って地面に滴り落ちた。

「……っ!」
 
私は震えている手に拳を作った。
 
こんなこと……クラウンにされた事に比べたら全然痛くない! 

ブラッドが私を守るために負った傷に比べたら……!

「こんな……!」
 
地面に手を付いてゆっくりと体を立ち上がらせる。

その拍子に体が大きく左右に揺れ倒れかけるも、私は両足に力を込めて踏ん張った。
 
黒影の鎖が足に絡まっているせいで、思うように歩く事が出来なくても、私は前に向かって歩く事をやめなかった。
 
しかし闇の玉はアルファによって幾度となく放たれ続けた。

でも私はそれでも歩く事をやめなかった。

「ブラッド……!」
 
あなたにもう一度会えるまで……立ち止まるわけにはいかない! 

そう強い意思を内に抱きながら先へ歩き続けた時、突然目の前の景色が一変した。

「あ、れ……?」
 
さっきまで私の目の前には森の景色が広がっていた。

でも今私が立っている場所は、今にも崩れ落ちそうな崖先だった。

崖の底は真っ暗な世界が広がって見えて、私はその闇に怯えた。
 
どうしていきなり崖先に立っているの? もしかしてさっき見ていた森の景色は幻だったの?

「もう諦めたらどうですか?」

「っ!」
 
直ぐ後ろにアルファが迫って来ている。

私は崖先に背を向けてアルファに向き直った。

「そこから先は崖底ですよ。まあ死にたかったら、飛び込んでもらっても構いませんけど」
 
そう言ってアルファはニヤリと笑みを浮かべた。

再び闇の玉を作るとそれを私目掛けに放った。