ヴェルト・マギーア 星の涙 ACT.2

「君は……どうしてあの人と同じ事を言うんだ?」

「あの人?」
 
それってもしかして、エアの事を言っているの?

「確かに……あの人も言っていた。幸せと言うものは誰かによって……用意され物ではない。幸せとは自分が心から本当に望んでいる未来であって……自分の手でしか手に入れる事が出来ない物だと。でも……僕は……私は……」
 
クリエイトはそう言うと元の魔剣の姿へと戻る。そして部屋から出て行ってしまった。

「クリエイト……」
 
クリエイトは今にも泣きそうな顔をしていた。

どうして彼はあんな辛い顔を浮かべたんだろう?

「幸せとは自分が心から本当に望んでいる未来であって、自分の手でしか手に入れる事が出来ない物……」
 
クリエイトのさっきの言葉を思い出した私は、指先でそっと星の涙に触れた。

そして窓の外をじっと見つめる。

「自分の手でしか手に入れる事が出来ない……」
 
そう小さく呟いた私は覚悟を決めて、バルコニーへと出る。

バルコニーの先へと歩いて行き、手すりを掴んで私は下を見下ろした。

「……大丈夫、オフィーリア。私なら……出来るはずです」
 
この階から地面までの距離は相当ある。

しかしここから逃げ出して早くブラッドと合流するには、この近道を通るのが一番だった。
 
私はバルコニーへの外へと身を乗り出し、手すりのギリギリのところを掴んで体をぶら下げた。

「ブラッド。少しだけ魔法を使う事を許してください」
 
そう小さく呟き私は手すりから手を放した。

そして私はそのまま地面に向かって一直線に落ちていく。その中で私は胸の前で手を組んで詠唱を始める。

「風の精霊たちよ、その力を以て、我を助けたまえ」
 
この魔法使うのは一瞬、それまで判断を見誤ってはいけない。

もし見誤ってしまったら、大量に魔力を消費する事になってしまう。
 
体が地面に直撃する寸前のところで私は魔法を発動する。

「そよ風(ブリーゼ)!」
 
ふわりと優しい風が私の体を包み込む。

そのまま私はゆっくりと地面に足を付ける。

「ふう……」
 
無事に成功した事にホッとした私は軽く息を吐く。
 
なんとかこうして外に出る事は出来た。

後はブラッドの魔力を追って彼と合流出来れば――