ヴェルト・マギーア 星の涙 ACT.2

「こんな……ところで」
 
私が心から欲しかった世界って……一体なに? 

もしこのまま眠りについてしまったら、私が心から望んでいた世界が手に入るの? 

「私が…心から望んでいた世界……は」
 
碧眼の瞳から光が失われかけた時、私は腕を大きく振り上げると窓目掛けて思い切り打ち付けた。

「っ!」 
 
部屋の中に窓ガラスが割れる音が響き渡る中、私の腕には窓ガラスの破片が所々に突き刺さっていた。

ポタポタと血が腕を伝って床に落ちていく。
 
クリエイトは信じられないとでも言うような顔を浮かべながら、私にかざしていた左手を下ろした。

そんな彼? を私は瞳に映して口を開く。

「私は……自分が心から望んだ幻なんか囚われたりしません」
 
腕に突き刺さるガラスの破片を抜きながら、私はゆっくりと立ち上がってクリエイトを見つめた。

「幻は本物じゃない……そんな物を見せられても全然嬉しくありません。私は幻の世界よりも、今あるこの世界で生きる事を望みます。エアとトト、そして守護者たちが心から望んで生まれたこの世界で、私は生きていたいんです。だって……私はこの世界で生まれて、彼に出会ったんですから」
 
もしエアとトトたちがこの世界を作っていなかったら、私と言う存在は生まれていなかったかもしれない。

ブラッドと出会って彼を愛する事もなかったのかもしれない。

「あなたの言う、私が心から望んでいる世界ではきっと、私は彼と一緒に未来へ歩んで行く事が出来て、幸せな日々を送っているのかもしれません。ですがそれは、自分で手に入れた幸せではないんです。最初から用意されている幸せなんて、本当の幸せとは言えません。幸せは自分で手に入れる物です。だから私はこの世界で生きて、ブラッドと幸せになる日々を送る未来を手にします」
 
私の言葉にクリエイトは目を見張った。

そして何故か凄く辛そうに表情を歪めると顔を伏せた。

「……クリエイト?」
 
彼の名前を呼んだ時、クリエイトは数歩後ろに下がった。