ヴェルト・マギーア 星の涙 ACT.2

「ま、けん……?」
 
そう小さく呟いた時、黒い魔剣は私の側まで飛んでくる。

その姿に私は警戒しながら後ろへと下がった。

『怖がらないで……私は……止めに来た……だけ』
 
止めに来た? 止めに来たって一体何を?

「あ、あなたは一体誰なんですか?」
 
私がそう尋ねた時、黒い剣は動きを止めた。

そして刀身を紫色に輝かせると、黒い剣は一人の人間の姿へと変わった。
 
髪の色はラベンダー色で、右顔は前髪で隠れている。

スピネル色の瞳の中に私の姿が映り、目の前に居る彼女は口を開いた。

「私は……クリエイト」

「クリエイトって……あなたはまさか!」
 
魔剣クリエイト――エアが選んだ守護者の内の一人。

闇国と呼ばれた国の出身で、守護者の中でも特に不思議な力を持っていた人だって、前にレーツェルから聞いた事があった。
 
そんな彼女がどうしてこんなところに居るの? 

魔剣クリエイトが目覚めていた何て話しはレーツェルからもブラッドからも聞いていない。
 
もしかして目が覚めてからずっと一人でいたのだろうか?

「クリエイト。あなたはブラッドとここへ一緒に来たのですか?」
 
その言葉にクリエイトは頭を左右に振った。そして――

「私の主は……クラウン」
 
その名前を彼女の口から聞いた時、私の体に鳥肌が立った。

さっきの事が脳裏を過ぎって、徐々に心拍数が上がっていく。

嫌な汗が頬を伝って床に落ちた時、私はクリエイトから目を逸した。

「その反応……彼によって……嫌なトラウマでも……出来たの?」

「そ、れは……! そんなことより、なぜエアの守護者であるあなたが、あんな人のところに居るんですか!? あの男は自分の願いを叶えるために、この世界のトトになろうとしているんですよ!」
 
どうして彼女がクラウンのところに居るの? 

まさかクラウンに脅されて……? 

それともクリエイト自身がクラウンを主に選んだと言うの?

「クラウンは……エアの願いを叶えてくれる……存在。だから……あなたは……ここに居てくれなくちゃ……困るの」

「っ!」
 
その言葉を聞いてクリエイトがクラウンの事を、自分の主として認めている事が分かった。

クラウンがエアの願いを叶えてくれる存在。

エアが星の涙に願った【この世界のトトを探してほしい】と言う願いを、クラウンが叶えてくれるって……。