ヴェルト・マギーア 星の涙 ACT.2

「……っ」
 
未来が滅ぶことを知っておきながら、自分は特に気にすることもなく生活を送っていたって言うのか? 

俺だったら普通に生きることなんて絶対に出来ない。

きっと滅ぶ未来を変えようとして奮闘するか、それとも未来に怯えながら生きていたか……。

「だがクリエイトはエアとトトと出会って変わった。自分の力を二人のためだけに使うようになって、二人が幸せになれる未来を誰よりも望んでいた。……はずだったんだ」
 
アルは歯を噛みしめると、目の前に見える研究施設を睨みつけた。

「そしてクリエイトの二つ目の能力は――」

「――っ!」
 
そのときアルの言葉を聞いた俺の体に鳥肌が立った。

たった一人の人間にそんな事が可能だって言うのか? 

じゃあこの世界と作ったのはエアとトトって言うよりも……。

「とにかく急いだ方が良い。このことはレーツェルにも話すべきだ」

「あ、ああ、そうだな! 俺たちも急ぐぞ!」
 
そう言って俺たちは研究施設に向かって走り出した。

「……オフィーリア!」

待ってろオフィーリア! 今行くからな!

✭ ✭ ✭

「……」

俺はベータの体を抱きかかえながら、さっきあの男が言っていた言葉を思い出す。

【お前は最初からベータを守ろうとしていた。ベータよりも真っ先に俺に突っ込んできたのは、俺とベータを戦わせないためだろ。それにあの時お前がベータも狙って剣を振り下ろしてきたのは、俺が必ずベータを遠ざけようとすると読んでいたからだ。じゃなきゃあんな事出来ないだろ】

「……そんなわけねぇよ」

俺はそうボソッと呟き、気絶してしまっているベータの顔を見下ろした。

「なあ、ベータよぉ。お前はまだあの男の命令を守るって言うのか?」

こいつはアルファや俺なんかよりも、ずっと心からクラウン様に忠誠を誓っている。

それは昔に助けてもらった恩があるからって言うのもあるだろうが、きっとそれ以上の気持ちだってこいつの中にはある。

「あの人は俺たちの知っている、クラウン様じゃねぇんだよ。だから……」

いつまでも従い続けても、傷つくのはお前なんだぞ?