ヴェルト・マギーア 星の涙 ACT.2

「まだやるか?」
 
俺の言葉にガンマは手の中にある大剣を見下ろすと、ゆっくりと頭を左右に振った。

「いや……この状況じゃもう負けは目に見えているぜ。……俺の負けだ」

「そうか。潔くて助かるよ」
 
ガンマは手の中にあった大剣を横へ投げ捨てると、そのままヨロヨロと立ち上がって、気絶しているベータの体を抱き上げた。
 
さすがにあの一撃をくらって歩けている事に内心驚きながらも、俺はガンマに一つ問いかけた。

「なあ、あんた。最初からベータの前から動く気なかっただろ?」
 
その言葉にガンマは動きを止めた。そして横目で俺の姿を目に映した。

「お前は最初からベータを守ろうとしていた。ベータよりも真っ先に俺に突っ込んできたのは、俺とベータを戦わせないためだろ。それにあの時お前がベータも狙って剣を振り下ろしてきたのは、俺が必ずベータを遠ざけようとすると読んでいたからだ。じゃなきゃあんな事出来ないだろ」

「……ふっ。んなわけねぇだろ」
 
ガンマはそう吐き捨てるように言うと、森の中へと歩いて行く。

しかし最後にこちらへ振り向くと言う。

「良いか、ブラッド。クラウン様を本気で殺そうとしているんだったら、あのお方の持っている魔剣には気をつけろよ」

「っ!」

『……魔剣だと!?』
 
クラウンの持っている魔剣……! 

その言葉に俺は聖母の愛大聖堂で感じた魔力の存在を思い出した。

「……やっぱりあいつも魔剣を持っているんだな! あいつが持っている魔剣の能力はいったいなんだ?!」

「おっと、そいつは教える事は出来ねぇな。そいつは自分の目で確かめな」
 
ガンマは姿を消す前にそう言うと森の奥へと姿を消した。
 
完全に二人の魔力の存在が消えた事を確認した俺は、アムールを鞘へと戻した。

するとアルが元の人間の姿へと戻った。

「ブラッド。お前あいつが魔剣を持っているって知っていたのか?」

「……ああ」
 
あのとき聖母の愛大聖堂で、クラウンは俺とオフィーリアの最大の一撃をまともに受けたはずだった。

しかしあいつは体に傷一つ負っていなかった。
 
その事に気づかなかった俺は安心しきっていて、オフィーリアとレオンハルトと一緒に帰ろうとしていた時に、後ろからあいつの攻撃を受けた。