ヴェルト・マギーア 星の涙 ACT.2

ベータからしたら命の恩人であるクラウンの目的が、後少しで果たされようとしていた時に、俺の邪魔が入ったんだ。
 
当然、彼女が俺を憎いと思うのは当たり前な事なんだけどさ。

「そうかよ。じゃあそんな俺をお前は見ているだけで良いのか? ガンマみたいに戦おうとはせず、約束を守るために戦う事を望まないって言うのか?」

「それは……!」

「一つ言わせてもらうけどな、それはただの弱虫のする事だ。口だけでは気に入らない、憎いと言っておきながら、自分では行動を起こそうとはしない。それはお前が弱虫で恐れているからだ」

「……この私が……弱虫だと!」
 
【弱虫】と言う言葉に相当頭にきたのか、ベータは殺気を放すと今にも俺を殺す勢いでギロリと睨みつけてきた。その姿に俺は軽く笑った。

「ん? その言い方だとお前は弱虫じゃないんだろ? だったらどうする? どうやって俺に弱虫じゃないって証明する?」

『お、おい……ブラッド。それ以上挑発するのはやめとけ』

「えっ?」
 
頭の中でアルの声が聞こえた瞬間、ベータは剣を構えると右足を思い切り踏み込んで、一気に俺との距離を縮めた。

「なっ!」
 
俺は咄嗟に魔剣アムールで迎え撃ち、剣の刃が激しくぶつかり合って火花が散った。

しかしベータの方の踏み込みが強いのか、俺はジリジリと後ろへと押されていく。

「くっそ……二人してなんつ〜力だよ……!」
 
一瞬でも気を緩めれば確実にベータから一撃をもらうことにある。

「お前……生まれる性別……絶対間違えただろ……!」
 
徐々に後ろへと後退して行く中、今度は剣を構えたガンマが俺たちに剣を振り下ろしてきた。

「なっ!」
 
その姿を見た俺は一瞬アムールを自分の方へと引いた。

そして前方に全体重が掛かっていたベータの体が倒れかけるのを見て、俺は彼女のお腹に思い切り蹴りを打ち込んだ。

「がはっ!」
 
ガンマの剣が俺たちの元へ振って来たと同時に、彼女の体は後ろの大木へと強く打ち付けられ、俺はアムールでガンマの大剣を迎え撃った。

「おお、良いねぇ! その判断力と瞬発力はよぉ!」

「お……前なぁ!! ベータごと俺をぶった切るつもりだっただろ!」

「それがどうした!」
 
こいつ……! 俺を殺すためならベータがどうなっても良いと思っているのかよ! さすがの俺でもそれだけは見逃す事は出来ねぇな!

「おい……ガンマ! 覚悟しろよ!!」

「んあ?」
 
俺はそう呟き右目に巻いていた包帯を外した。

そしてカッと右目を見開き、紅い瞳に魔力を注いだ。