ヴェルト・マギーア 星の涙 ACT.2

「……ガンマ」
 
ベータは辛そうに表情を歪めて顔を伏せた。そんな彼女の様子をガンマが横目で見ていた時。

「誰が誰を殺すだって?」
 
俺の声を聞いたガンマとベータは、同時に俺がさっきまで立っていた場所へと視線を動かした。

すると土煙の中で動く一つの影が、二人の目に飛び込んできた。

「まったく……この服結構気に入ってるんだから、土煙とか上げんのやめてくれよな」
 
と、俺はそうぶつくさ言いながら服に付いた土を払いながら、二人の姿を左目に映した。

そんな俺の姿に唖然としていたガンマは、額に手を当てるともう一度高笑いを上げた。

「こりゃ〜参ったぜ! まさか悪魔の槍を退けるなんてなぁ!」
 
その言葉に俺は思わず苦笑した。

「いや〜でも、さすがに危なかったけどな。予想以上の力で、この俺でもちょっと驚いぜ」

何て言いながら、俺は首から下げられた守護石をそっと掴んだ。
 
あの瞬間、瞬間転移の魔法を使ってその場から飛ぼうとした時、この守護石が俺を守ろうとして力を働かせた。
 
真ん中に埋め込まれた翡翠石から光が放たれると、俺の体を温かい光で包み込んでから翡翠色のバリアを張った。

そして悪魔の槍から俺の身を守ってくれた。

まあ何とかそのおかげでこうして無事で居られたけど、一瞬でも判断が遅れていたら大怪我では済まなかったと思う。

俺は高笑いを上げているガンマの隣に居るベータへと視線を映した。

するとベータはさっきよりも鋭い目つきで俺を見てきていた。

「うわぁ……」
 
こりゃ相当お怒りのようだな……。

しかしベータからは自分で動こうとする感じは見られなかった。

まさか本当にクラウンの命令でも待っているのか? それともさっき言っていた、オフィーリアとの約束を守ろうとしているのか?

「そんな怖い目で俺を見て来てどうしたんだよ? 何か気に入らない事でもあったか?」

「……ええ、そうですね。あなたがこの世界に存在して居る事が物凄く気に入らないんです。クラウン様の邪魔をする……あなたの存在が憎いんですよ!!」

憎い……か。まあ、そりゃそうだろうな。