ヴェルト・マギーア 星の涙 ACT.2

彼が生まれながらに高い魔力を持っていたのはきっとそれが原因だ。

と、そのまま彼の両親に話して安心させて上げれば良かったんだろうけど、俺にはそんなこと出来なかった。
 
だって今目の前には、俺にとって実験価値のある研究対象が居たのだから。
 
俺は彼を監禁してありとあらゆる実験を試した。

そしてあの魔眼を与えた。
 
さすがにトトと似た魔力を持った彼でも、最初にあの魔眼を受け入れる時には拒絶反応を見せると思っていた。

そしてその後には必ず、自分の物にしてしまう事も読んでいた。

まあ……研究施設を破壊される事までは読んでいなかったけど。
 
彼にはまだ利用価値があると思った俺は、俺自身の願いを叶えるために働いてもらおうとして逃してあげた。
 
が、その考えが仇となった。
 
ブラッド君の魔力の性質がトトそのものだとするなら、彼がこの世界のトトになるのは必然だ。

だから星の涙は必ずブラッド君をこの世界のトトとして選ぶだろう。

それこそが彼と彼女の絶対に変える事の出来ない運命だ。

「ふっ……」

そして二人が幸せになれる未来は絶対に存在しない。

二人はまた繰り返すことになるんだよ。

どちらが死にどちらが生き延びるのか。

エアも何て残酷な事を望んだんだろうね。

この世界のトトを探してほしいなんて、この世界のエアに死ねと言っているような物じゃないか。

もし仮に彼がこの世界のトトになると言うのなら、もう彼女の存在も用済みだな。
 
俺を選ばないエアなんか必要ない。

「大丈夫だ。エアの代わりになる子なら既に出来上がっている」
 
オフィーリア……君はそのための器に過ぎないんだよ。

「ふっ……この私が何もかも救済してみせようじゃないか」
 
二人がそんな過酷な運命を辿る必要なんてないんだよ。

だが、俺が理想とする世界を作り上げるためには犠牲も必要だ。
 
だからオフィーリア……君は死ぬしかないのさ。

どんなに逆らっても、どんなに足掻いても、この運命から逃れる事なんて決して出来ないのだから。