ヴェルト・マギーア 星の涙 ACT.2

「お前が今忙しいんだって事は分かってる。でも……もうお前にしか頼めないんだ!」
 
クロードのその言葉に俺は目を細めた。
 
この俺にしか頼めないこと……か。

アジトは今用意する必要もないし、暇つぶしに話だけでも聞いてみるのも悪くないか。

一応俺にとってこいつは実兄だしな。

「うん、良いよ。クロード兄さんの頼みだからね。それで話ってなに?」

「あ、ああ、ありがとう助かるよ。実は……息子のブラッドの事なんだが」

「ブラッド…………君?」
 
ブラッド――確かクロードの一人息子だった子だよな? 

「ブラッド君がどうかしたんだい?」

「お前も知っていると思うけど、最近ブラッドの体調があまり良くないんだ」
 
体の調子が悪いのか……。

その相談を俺にするって事は、クロードは定期的にブラッド君の体について俺に話をしていたみたいだな。

「ブラッドはフィエリアのお腹の中から高い魔力を持って生まれてきた。本来だったら、俺とフィエリアの子から高い魔力を持った子が生まれる可能性は低いんだ。俺とフィエリアの魔力はそんなに高い方じゃないからな。それにお腹の中に高い魔力を持った子を身ごもっていたフィエリアの体には、特に変わった変化は見られなかった。だからブラッドだけに辛い思いをさせてしまっていて……学校に行かせてやる事も、一緒に外で遊んであげる事すら出来てやれない。……生まれた時よりも魔力は年々膨張してきている。そのせいで魔力が雫に収まりきらなくて、ここ最近発熱が止まらないんだ。俺は父親なのに……息子に何もしてやる事が出来なくて……それが悔しくて……」
 
その話に俺は目を強く見張った。

「……生まれた時から高い魔力を持っていた……だと?」
 
俺はそう小さく呟きクロードにバレないようにニヤリと笑った。

「クロード兄さん。ブラッド君は今年で何歳になるんだっけ?」

「……今年で八歳だ」

生まれたばかりの子供は、まだ魔力を抑え込める程の体が出来上がっていない。

だから殆どの子ならば、高熱に体が耐えきれず亡くなる事の方が多い。

だからブラッド君は本来ならとっくに死んでいてもおかしくないんだ。