ヴェルト・マギーア 星の涙 ACT.2

「イメチェンって……それがイメチェンって言うのか?」

「ん? そうだけど? もしかして似合っていなかった?」

「いや……まあ……そうだな。俺はやっぱり前の方が直ぐにお前だって分かるから、ちょっと複雑だよ」

「そう?」
 
俺は首を傾げながら指先でクルクルと前髪を遊ばせた。

確かに前の俺だったら間違いなくイメチェンをする、何て考えはしなかっただろう。

でも今の俺は前の俺とは違う。

だから俺的には前の自分よりも今の自分の方が気に入っている。

「それでクロード兄さんは、どうしてこんなところに居るのかな? もしかして俺を探していた?」

「……俺? ……ああ、いや。そう、お前をずっと探していたんだ。ギルバートからお前が魔法協会をやめて姿を消したって聞いてさ。心配になって探していたんだ」

「ギルバート……。ああ、ギルのことだね」
 
ギルバート――確か俺と一緒に雫の研究をしていた一人だったな。

確かこのクロードと言う男も八年前までは俺とギルバートと一緒に雫の研究をしていた。
 
でも幼馴染の【フィエリア】と結婚する事になって、子供が出来たと言って仕事をやめた。

今は確か小説家になっているんだったか?

「お前……何で魔法協会をやめたんだよ? あそこでならお前がずっと求め続けていた答えが見つかるかもしれないって言ってたじゃないか」

「ああ……まあそうなんだけど。ちょっと違ったんだよね」

「違った?」

「そう」
 
俺はニッコリ笑ってクロードにそう返した。

「だから今は独自に研究所を立ち上げて、雫の研究をしているんだ。そのせいで今は色々と忙しくてね。もう少し落ち着いたら、クロード兄さんたちに挨拶しに行こうと思っていたんだよ」

「そ、そうなのか……」
 
クロードは一回咳払いをすると、真剣な表情を浮かべて口を開いた。

「クラウン。お前に頼みたい事があるんだ」

「頼みたいこと?」
 
この俺に頼みたい事だって? 

今はこいつの話を聞いている暇なんてないのに……。