ヴェルト・マギーア 星の涙 ACT.2

部屋を出て行こうとしていたアルファは、俺の声に気づいてこちらを振り返った。

そんな彼に俺は優しく笑いながら言う。

「あまり力を使いすぎないようにね」

「……っ」
 
その言葉にアルファは軽く目を見張ると、何も言わず一礼してから部屋を出て行った。

「さあ、オフィーリア。君はいったいどちらを選択するのかな?」
 
しかし約束を守ると言っても、俺にも限界と言うものがある。

約束なんて守っていたら、彼がこの世界のトトになってしまう。

それだけは絶対に避けなければ――

『それは……無理』

「――っ!」
 
すると頭の中で聞き覚えのある声が響いた。

俺は腰から下げている真っ黒な剣に触れて低い声で問いかけた。

「無理だと? それは一体どういう意味だ?」

『彼が……トトになるのは……もう目に見えている。それは……あなたも分かっているはず』
 
その言葉に俺は唇を噛んだ。そして剣の入った鞘をわし掴んだ。

「お前は……あいつの味方をすると言うのか!」

『違う……未来が……そう言っている』
 
剣は鞘から抜け出ると俺の目の前に浮かんだ。

『彼女は……無意識に彼をトトとして見ている。それは……星の涙も同様』

「くっ……!!」
 
だから星の涙は俺の存在を拒み、トトして選ぶことは決してないと言うのか! 

もしそうだとするなら、まるで星の涙に意識が宿っているみたいではないか!

「君と話していると頭に頭痛が走るよ」

『でも……僕のおかげで君は……生きているじゃないか』
 
その言葉を聞いて俺は目の前に浮かぶ彼等を睨みつけた。

「主にそんな口を聞いても良いと思っているのか? 逆に俺が居ないと困るのはそっちの方じゃないのか? 【魔剣クリエイト】!」

『……』
 
俺の言葉にクリエイトは無言になる。

「俺は必ずこの世界のトトになるんだ! そうすれば心から欲しかった物が全て手に入るんだ! この世界の真実も! エアも! 星の涙もだ! だからお前はそのために力を貸していれば良いんだよ!!」
 
そうだ! この世界のトトになるのは俺だ! 

決してブラッド君ではない! 

あんな奴に俺の理想の世界を作る邪魔をされてなるものか!

「ああ……今になって思うよ」
 
あのとき彼を殺していれば良かった、てね。