「だからブラッド。お前は絶対に後悔するな。絶対に愛した人を救い出せ」
 
アルの言葉に俺は力強く頷いた。
 
すると涙を拭ったレーツェルは優しく微笑むと立ち上がった。

「では、ブラッド。ここからは剣術の特訓と行きましょうか」

「えっ? 剣術の特訓?」

「はい」
 
その言葉に俺は首を傾げたと同時に、そう言えばと思ってレーツェルに問いかけた。

「なあ、レーツェル。そう言えばあのオフィーリアの剣術は誰が教えたんだ?」
 
俺の問いかけにレーツェルは目を瞬かせた。

そしてなぜかアルへと視線を送った。

彼女の視線に気がついたアルはヤレヤレとでも言うように頭を左右に振る。

「では、お答えしますね。オフィーリアに剣術を教えたのは、ずばり私ですよ」

「………は?」
 
えっ…………レーツェルがオフィーリアに剣術を教えた? 

……えっ?! 

レーツェルがオフィーリアに剣術を教えた!?!

「ブラッド……一つ言っておくが、レーツェルはこう見えてありとあらゆる事の才能に秀でだ人物だ。まあ言ってしまえば、一度見た相手の攻撃は直ぐに見様見真似出来るんだよ」

「えっ!?! それもうただの才能だろ?!」

「だからそう言ってるだろ。だから俺でも彼女には一度も勝ったことがない」

「ま、まじかよ…………」
 
こんな可愛らしい見た目から、そんなチート能力を持っているなんて想像もつかないんだけど!

ありとあらゆるって事は、きっと剣術以外も見たら全部出来るんだろうな……。

「と言いましても、制限はもちろんありますよ。剣術や体術などは直ぐに見様見真似出来るんですけど、魔法の類は全く真似できません。それに私の場合それを実践として使うのは無理なんですよ。あまりにも体力がないものですから、お相手出来たとしても五分が限界です」

「いや……その五分でもアルを戦闘不能に出来るくらいの実力は持ってるんだろ?」
 
俺の言葉にレーツェルは数秒考え込むとニッコリと笑った。

当然、その笑顔に鳥肌が立ったのは言うまでもないが、さすがの俺でもちょっとビビった。