「このままで構わない。今のあいつにとって彼女は格好の餌だ」
クラウンは言い捨てるようにそう言うと、星の涙に目を向けることもなく部屋から出て行った。
一瞬の出来事で何が起きたのか分からなかったけど、クラウンは【あいつ】と言う言葉に鋭い殺気を見せた。
それもアルファたちが居るにも関わらずに。
「……あいつって誰のこと?」
クラウンが思わず殺気を漏らしてしまう程の相手と言ったら、私の中では一人しか思い浮かばなかった。
私は体から力が抜けたようにその場に座り込んだ。そして目尻に涙を浮かべる。
「そんな……だって」
彼は私の事を忘れているはずだ。助けに来れるはずがない。
「でも……」
もし何かの拍子にお兄様の忘却の魔法が解けたんだとしたら……。
本当に今ここへ向かって来ているのがブラッドなら……。
「…………会いたい」
ポツリと口からその言葉が出たと同時に、目尻に溜まっていた涙が頬を伝った。
顔を伏せてぎゅっと目を瞑り彼の笑顔を思い出す。
「ブラッド……ブラッド!」
もう一度あなたに会いたい。
それ以上はもう何も望まないから……お願いします星の涙。
もう一度だけ彼に合わせて……。
「ブラッド……」
涙をボロボロと流しながら私は、雨上がりの外を見つめたのだった。
クラウンは言い捨てるようにそう言うと、星の涙に目を向けることもなく部屋から出て行った。
一瞬の出来事で何が起きたのか分からなかったけど、クラウンは【あいつ】と言う言葉に鋭い殺気を見せた。
それもアルファたちが居るにも関わらずに。
「……あいつって誰のこと?」
クラウンが思わず殺気を漏らしてしまう程の相手と言ったら、私の中では一人しか思い浮かばなかった。
私は体から力が抜けたようにその場に座り込んだ。そして目尻に涙を浮かべる。
「そんな……だって」
彼は私の事を忘れているはずだ。助けに来れるはずがない。
「でも……」
もし何かの拍子にお兄様の忘却の魔法が解けたんだとしたら……。
本当に今ここへ向かって来ているのがブラッドなら……。
「…………会いたい」
ポツリと口からその言葉が出たと同時に、目尻に溜まっていた涙が頬を伝った。
顔を伏せてぎゅっと目を瞑り彼の笑顔を思い出す。
「ブラッド……ブラッド!」
もう一度あなたに会いたい。
それ以上はもう何も望まないから……お願いします星の涙。
もう一度だけ彼に合わせて……。
「ブラッド……」
涙をボロボロと流しながら私は、雨上がりの外を見つめたのだった。



