ヴェルト・マギーア 星の涙 ACT.2

「そのことについてルヴィナスは知っているのか?」

「ああ、知っている。だから魔道捜査一課の人たちはスイレンに向かうように言われている」

「レオンハルトは行かないのか?」

「……前の事件のせいでルヴィナスさんから謹慎を言い渡された。いつ解かれるかも分からない。だからこの件はミューズとナインに任せている」

「……そうか」
 
するとレオンハルトは力を込めた拳を作るとそれを見下ろす。

そして机の上に置かれている手帳を見つめて言う。

「今の俺は魔法警察や魔法協会を信用する事が出来ない。だから今回は俺独自で動こうと思っている」
 
その言葉に俺は目を見開く。
 
レオンハルトがそう思うのはやっぱり、アルファの話が関わっているからなのだろう。
 
俺は最初から魔法協会の事は信用していないから何とも思わないが、魔法警察に関しては少し複雑な気持ちになる。
 
レオンハルトは自分の中にある正義を持って、道化師を追うために魔法警察になった。

しかしアルファの話を聞いて、レオンハルトの中にあった魔法警察へ対する信頼が揺らいで来ているのかもしれないな。
 
ここは一つ何か言ってやりたいところだが、これはレオンハルト自身が自分で答えを見つけないといけないことだ。

だから俺から何かを言うべきではない。

「それで俺にこの話をしたのか?」
 
レオンハルトは苦笑するとその言葉に軽く頷いた。

「ああ、お前だったら絶対来ると思ってな」
 
その言葉に俺は目を細めてそっぽを向いた。
 
そりゃあ確かに見逃す事の出来ない案件だが、直ぐにスイレンへ行くとなるとそれなりに準備が必要だ。

ここからだと一週間は確実に掛かるわけだし、お金の準備も必要だ。
 
なにより……ミリィに何と言ってスイレンに向かうか。

念入りな準備を整えないと、あいつは絶対に納得しないだろうからな。
 
そんなことを悶々と考えていた時、レオンハルトは上着のポケットからお金の入った包を取り出すと、それをそっと机の上に置いた。