その答えに辿り着いた時、目の前が真っ暗になった。

あの人は私の知っているお兄様じゃない。

大好きだったお兄様じゃない……。
 
いったい何が起こって、お兄様はクラウンに力を貸しているのかは分からない。

でも……今はそんなこと聞きたいとすら思えなかった。
 
ねえ……お兄様。

兄妹ごっこって何だったんですか? 

もしかしてお兄様は最初から私の存在なんて、どうでもよく思っていたんですか? 

あの時レーツェルと一緒に逃げるように言ってくれたのは、全てこの時のためだったんですか? 

もし全てが上手くいって、お母様や他のエアの末裔の人たち全員が生き返ったら、お兄様はいったい何をするつもり何ですか? 

私を犠牲にして生き返った事を知ったお母様は、きっと怒ってしまうと思いますよ?
 
お兄様……私はあなたが生きていてくれたと知った時、凄く嬉しかったんですよ? 

お兄様に話したい事がたくさんあって、私が初めて心から愛したブラッドの事をもっと知ってほしかったです。
 
でも……それはもうきっと叶わないんですよね?

「……助けて……ブラッド」
 
この身と命をあんな奴に差し出すくらいなら、ブラッドにこの世界のトトになって欲しい。

……ううん、駄目よ。
 
私があの人をトトに選んでしまったら、ブラッドは必ず後悔してしまう。

自分のせいで私を死なせてしまったと思って、自分の事を酷く追い詰めてしまう。
 
それだけは絶対に嫌だ。

例え私の事をもう覚えていなくても、私のために悩んでほしくない、私のために傷ついてほしくない。
 
だから私は……誰もトトになんて選ばない。

このまま星の涙と共に命を――

「オフィーリア様。ご朝食の準備が整いました」

「っ!」
 
すると部屋の扉近くでベータの声が聞こえた。

私は埋めていた顔をゆっくりと上げて、碧眼の瞳に彼女の姿を映した。