左の薬指で光る真新しい結婚指輪がキラッと照明に反射して光る。まるで、これは夢でも幻でもない現実なんだから、もっと自覚を持ちなさい、と背中を押されているようだ。
入籍はしたものの、私たちはまだ結婚式を挙げていない。樹さんの仕事は相変わらず忙しく、なかなかそんな話ができるような雰囲気でもないし、焦らせるようで気が引ける。けれど、樹さんと正式に夫婦になれたことだけでも満足だった。
「そういえば、先日梨花さんのSNSを見ました。オーストリアに渡って活躍してるみたいですね。高松さんと一緒に」
あれから梨花さんはどうしたかな、となにげに気になっていた。そして、この間たまたま彼女のSNSをチェックしていたら、オーストリアに拠点を移して毎日コンサートなどに奔走しているような内容の書き込みを目にした。アップされた写真には、にこりともしない高松さんの姿もあった。
「一緒にいるってことは、あのふたり、うまくいったんですね」
なんだか自分のことのように嬉しくなってしまうから不思議だ。そんな私を見て、樹さんが小さく咳払いした。
「愛美、少し話があるんだ……これは俺が決めることじゃなくて君自身が決めなければいけないことだから、しっかり聞いて欲しい」
「話しって……?」
なんだか改まって言われると思わず身構えてしまう。そんな不安が顔に出ていたのか、「悪い話じゃない」と彼は笑んだ。
入籍はしたものの、私たちはまだ結婚式を挙げていない。樹さんの仕事は相変わらず忙しく、なかなかそんな話ができるような雰囲気でもないし、焦らせるようで気が引ける。けれど、樹さんと正式に夫婦になれたことだけでも満足だった。
「そういえば、先日梨花さんのSNSを見ました。オーストリアに渡って活躍してるみたいですね。高松さんと一緒に」
あれから梨花さんはどうしたかな、となにげに気になっていた。そして、この間たまたま彼女のSNSをチェックしていたら、オーストリアに拠点を移して毎日コンサートなどに奔走しているような内容の書き込みを目にした。アップされた写真には、にこりともしない高松さんの姿もあった。
「一緒にいるってことは、あのふたり、うまくいったんですね」
なんだか自分のことのように嬉しくなってしまうから不思議だ。そんな私を見て、樹さんが小さく咳払いした。
「愛美、少し話があるんだ……これは俺が決めることじゃなくて君自身が決めなければいけないことだから、しっかり聞いて欲しい」
「話しって……?」
なんだか改まって言われると思わず身構えてしまう。そんな不安が顔に出ていたのか、「悪い話じゃない」と彼は笑んだ。



