偽恋人からはじまる本気恋愛!~甘美な罠に溺れて~

「スケジュールを勝手に変更したのは……愛美さんの言う通りよ、次に繋げられる仕事を優先した。それに、パリメラの契約を切られると言われて、感情的になってしまったの。樹が困ればいい、そう思った。けど、結果的に信用を失って取り返しのつかないような馬鹿なことをしたわ……愛美さんにもひどいことを……本当にごめんなさい」

身体を小刻みに震わせている梨花さんの肩に、高松さんが軽く手を載せる。

「これ以上勝手なことをされると、今度こそ事務所をクビになりかねませんよ? そうなったら、私はあなたを守れなくなる」

高松さんはもう一度水城さんに頭を下げて言った。

「水城さん、解約の件は誠に残念ですが、全面的にこちらに非がありますので……承諾せざる得ません。私からも謝罪します。今までの不手際をどうかご容赦ください」

そして、高松さんは険しい視線を梨花さんに向けた。

「梨花、あなたには帰ってからたっぷり説教しなければなりません。まったく、本当にあなたは馬鹿な人だ」

高松さんに厳しく言われて、梨花さんは今までの勢いはどこへいったのやら肩を下げてしゅんとなった。

そのとき、一台のタクシーがヘッドライトを光らせて路肩に停車した。