初め、梨花さんがドタキャンしたのは先日の私の失言のせいだとばかり思っていた。けれど、もうひとつ、私にはもしや、という憶測があった。
「私が梨花さんに失礼なことを言ってしまったのは謝ります。けど、今回のことはそのことが原因じゃないですよね?」
私が言いよると、梨花さんがじりっと一歩引いた。
「何が言いたいの?」
「どうせ切られる契約なら、次に繋がるような仕事のほうを優先させたかった。違いますか?」
どうやら図星だったようだ。その証拠に、梨花さんは目を見開いたまま微動だにしない。
「な、なによ……あなたに何がわかるというの?」
梨花さんの長くて綺麗な黒髪が、今にも怒髪天を衝くように揺らめく。完全に彼女を逆撫でてしまったみたいだ。
ドクドクと波打つ心臓を押さえようと胸に手をあてがったそのとき、梨花さんの顔色が信じられない物を見るかのようにサッと変わった。
「あなた、その薬指の指輪……まさか……」
梨花さんは思いのほか目敏かった。私はうっかり先ほどプロポーズでもらった指輪をしている手を、梨花さんの間の前に出してしまっていたのだ。
「まさか、嘘よね、その相手……って、樹じゃないわよね?」
梨花さんは受け入れられない現実を拒絶するように、何度も「違う、違う」とぶつぶつ呟いている。
「私が梨花さんに失礼なことを言ってしまったのは謝ります。けど、今回のことはそのことが原因じゃないですよね?」
私が言いよると、梨花さんがじりっと一歩引いた。
「何が言いたいの?」
「どうせ切られる契約なら、次に繋がるような仕事のほうを優先させたかった。違いますか?」
どうやら図星だったようだ。その証拠に、梨花さんは目を見開いたまま微動だにしない。
「な、なによ……あなたに何がわかるというの?」
梨花さんの長くて綺麗な黒髪が、今にも怒髪天を衝くように揺らめく。完全に彼女を逆撫でてしまったみたいだ。
ドクドクと波打つ心臓を押さえようと胸に手をあてがったそのとき、梨花さんの顔色が信じられない物を見るかのようにサッと変わった。
「あなた、その薬指の指輪……まさか……」
梨花さんは思いのほか目敏かった。私はうっかり先ほどプロポーズでもらった指輪をしている手を、梨花さんの間の前に出してしまっていたのだ。
「まさか、嘘よね、その相手……って、樹じゃないわよね?」
梨花さんは受け入れられない現実を拒絶するように、何度も「違う、違う」とぶつぶつ呟いている。



