偽恋人からはじまる本気恋愛!~甘美な罠に溺れて~

店を出る前に配車の電話をしてくれたけれど、まだ迎えのタクシーは到着していなかった。

「道が混んでるんだろう、少し待てるか?」

「大丈夫です」

道を行き交う車の交通量が多い。水城さんが言うように、どこかで渋滞しているのかもしれない。と思っていたそのときだった。

「やっと出てきた。待ちくたびれたわよ」

聞き覚えのある声のほうを振りむくと、そこには腕を組み眉間に皺を寄せた梨花さんが静かな怒りを滾らせて立っていた。まるで待ち伏せしていたみたいに。

うわっ! なんで梨花さんがここに?

もしかして、私が梨花さんの仕事を取っちゃったから……?

プロポーズをされて浮かれた気分に、どよどよと暗雲が立ち込め始める。

「いまさらなんだ。もう、ここに用はないだろう? とっくに会食も終わった」

水城さんの冷めた目を向けられても、梨花さんは怖気づくことなくずかずかと歩み寄ってきた。