「君のお父さんには改めて後日報告に行こう。指輪を貸して」
水城さんが箱から指輪を取り出して、そっと私の左手を掬う。
「生涯をかけて、君を幸せにする。五年前、この店で俺はパリメラを全国に轟かせるって誓ったんだ。だから、君へのプロポーズもここでしたかったんだよ。新しい門出にはぴったりの場所だろう?」
手の甲にちゅっ、と甘い水音を立てると水城さんは私の薬指にすっと指輪をはめた。私はその様子を恍惚と眺める。
「本当は、今すぐにでも君を抱きしめてキスしたいけど、ほかにもギャラリーがいるってこと忘れていたな」
チラッと目線を店の隅へやると、厨房でまだ作業をしていた数人のスタッフが押し合いへし合いしながらこちらを覗いていた。
「ふふ、よっぽど水城さんのことを心配してたみたいですね」
「ああ、そうだな。ここにいるスタッフ全員、家族みたいなものだからな。場所を変えようか、タクシーを拾って俺の家に行こう」
「はい」
水城さんが大切にしてきたリストランテ・パリメラ、そしてスタッフの人たち……私もその家族の一員になってもいいんだよね?
水城さんにプロポーズされるなんて、想像もしていなかった。だからこんな温かな多幸感に包まれて正直まだ戸惑っている。
水城愛美……か。
心の中でそんな自分の名前に呟くと、急に気恥ずかしくなってしまう。ふと、左薬指にはめられた指輪を見るときらりと光る。“あなたは結婚するのよ”とそう言われているようだった。
水城さんが箱から指輪を取り出して、そっと私の左手を掬う。
「生涯をかけて、君を幸せにする。五年前、この店で俺はパリメラを全国に轟かせるって誓ったんだ。だから、君へのプロポーズもここでしたかったんだよ。新しい門出にはぴったりの場所だろう?」
手の甲にちゅっ、と甘い水音を立てると水城さんは私の薬指にすっと指輪をはめた。私はその様子を恍惚と眺める。
「本当は、今すぐにでも君を抱きしめてキスしたいけど、ほかにもギャラリーがいるってこと忘れていたな」
チラッと目線を店の隅へやると、厨房でまだ作業をしていた数人のスタッフが押し合いへし合いしながらこちらを覗いていた。
「ふふ、よっぽど水城さんのことを心配してたみたいですね」
「ああ、そうだな。ここにいるスタッフ全員、家族みたいなものだからな。場所を変えようか、タクシーを拾って俺の家に行こう」
「はい」
水城さんが大切にしてきたリストランテ・パリメラ、そしてスタッフの人たち……私もその家族の一員になってもいいんだよね?
水城さんにプロポーズされるなんて、想像もしていなかった。だからこんな温かな多幸感に包まれて正直まだ戸惑っている。
水城愛美……か。
心の中でそんな自分の名前に呟くと、急に気恥ずかしくなってしまう。ふと、左薬指にはめられた指輪を見るときらりと光る。“あなたは結婚するのよ”とそう言われているようだった。



