偽恋人からはじまる本気恋愛!~甘美な罠に溺れて~

「俺と結婚して欲しい。君と家族になりたいんだ」

箱の中で光り輝く指輪の向こうで、真摯な眼差しを向け、じっと私を見つめる水城さんと目が合う。

指輪でさえ驚いているというのに、え? 今、なんて?

呆然として固まっていると、水城さんが小さく笑った。

「シオンと君と、一緒にいるときふと思ったんだ。君と家族になりたいって。元々、結婚を視野に入れた交際のつもりだったけど、そんな思いがより強くなった」

嬉しくて言葉にできない、というのはこのことだ。なにを言ったらいのやら、まったく考えがまとまらない。頭の中が混沌として、出てきたのは涙だった。

「嬉しい、水城さん……ありがとうございます。パリメラで演奏するお話をもらって、これ以上の幸せはないって思ってたのに……もう、怖いくらいです」

嬉しくて、信じられなくて、もうなにがなんだか頭がぐちゃぐちゃだ。

「じゃあ……」

「はい。是非、こちらこそよろしくお願いします」

ペコッと頭を下げると、水城さんの長い長い安堵のため息が聞こえた。

「ああ、安心したら気が抜けた。君と初めて渋谷でデートした日も最高に緊張してたけど、それ以上に緊張した。とにかく君が俺の気持ちを受け入れてくれてよかったよ」

いつも堂々として隙がなさそうな彼だけど、水城さんもこんなふうに緊張することがあるのだと思うと、なぜかホッとする。