偽恋人からはじまる本気恋愛!~甘美な罠に溺れて~

「店をたちあげたときのことって?」

「五年前の話だよ、店を出すのにいっぱいいっぱいでろくに宣伝費用も支払えなかった俺に、『将来性のある会社だから』って、色々工面して大々的に宣伝してくれたんだ。今のパリメラがここまで成長できたのも、有坂社長のおかげなんだ」

「父が? そう、だったんですね」

初めて聞かされる父と水城さんの関係にほっこり心が和む。

色々あったけど、水城さんがお父さんのことそんな風に思ってくれてたなんて……よかった。

「さ、店に戻ろう」

「はい」

水城さんに促されて頷くと、私たちは店へと踵を返した。


プレゼンも終わり、店内には後片付けに追われているスタッフ以外誰もいなかった。

「こっちだ」

店に戻ってから水城さんに案内されると、なぜかワイングラスやカトラリーなどがセッティングされた二名分の席に通された。

「座って」

「あ、あの……これは」

まるでこれから食事をするような雰囲気だ。訳が分からずきょとんしたまま椅子に座る。