ルミはふと棒術がしたいと思った。護衛用の長刀。

手が空いた武官に声をかける。知り合いだ。

「棒術の稽古をしないか?」とルミ

「喜んで」と武官。

ルミは王宮お抱えの占い師だ。年はまだ若い。

俊敏に中庭に立つ。


かつかつかつ、と棒が打ち鳴らされる。
移動する。人影が。


気持ちがいい汗が双方を流れる。

「はッ」とルミ。棒先で突き。

武官はそれを木棒で凌ぐ。

かつかつかつ。

と、それを皇子と文官ルディらが中庭に面した縁側で眺めていた。
夏のナジャの峡谷。

遠く草原の緑も太陽も揺れていたのだ。


あの昔日だ。

そして時間の流れを繰り返すのだ。