「彼とは大学で出会って、付き合い始めて、結婚式を目前にして彼が事故にあいました。」
樹はこうして誰かに話しをする日が来るとは思わなかった。

「私、彼のことが大好きでした。あの頃の私にとって彼は私の未来も過去も今もすべてでした。大好きで大好きで。」
「・・・」
「本当にある日突然だったんです。事故にあった日も普通通りに朝会社に出勤したんです。週末の結婚式の打ち合わせの話をしたり、夜ご飯はオムライスがいいってリクエストされたり。本当に当たり前の朝を迎えて当たり前に会社に出勤していったんです。」
「・・・・」
「私は彼が事故にあった瞬間もいつも通りに仕事していて、合間に週末の結婚式の打ち合わせで決める招待状の発送リストの確認をしていました。」
「・・・」
理恵は樹が抱えている悲しみが見えるようだった。