1時間目の国語の時間。
国語の坂上が癖のある読み方で教科書を読んでいる。
僕の隣の兎和ちゃんは少し眠たそうな顔でぼーっと教科書を見ている。

「それじゃあこの漢文を…狗羽!現代語訳してみろ。」

坂上が兎和ちゃんを指名した。

あーあ、意地悪だなぁこのオジサン。
黒髪ロングで和服が似合いそうな日本人らしい兎和ちゃんだけど、国語は一番苦手なんだよ?
ましてや漢文なんて…

まあ、兎和ちゃんの可愛い困った顔を至近距離で拝めてラッキーだけどね。

「えっと…」

黒板と教科書を交互に見ながら焦る兎和ちゃんの耳元で、僕はこそっと囁いた。

「曹操が劉表を攻撃しました…だよ。」