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その日の夕方に、月鵬さんと鉄次さん、さらには亮さんまでが屋敷を訪ねてきた。
私はちょうど屋敷をぶらぶらとしていて玄関まで来ていたので、メイドさんに応対されていた三人に会うことが出来た。
「月鵬さん、てんちゃん! お久しぶりです!」
私がメイドさん越し声をかけると、月鵬さんは一瞬ギクリとした顔をしたような気がした。
私は訝しりながらも、「亮さんも、お久しぶりです」と、亮さんにも挨拶をした。
(この前みたく、俺は無視かって拗ねられても面倒だし)
亮さんは相変わらずな態度で、そっぽ向く。
(本当に、この人は……自分に正直すぎるわ)
私は半ば呆れながら、月鵬さんと鉄次さんに視線を移した。
「私、二人に話したいことがあったんですよ」
「あら、そうなの? じゃあ、用事が終わったら聞かせてよ」
鉄次さんがそう言って微笑むと、月鵬さんは少し困った顔をして、
「ごめんね。私は用事が済んだら他の仕事しなきゃいけないのよ。明日のお昼、また来るからその時でいいかしら?」
「あ、はい。もちろんです」
私は明るく返して、お客さん用の内用靴を靴箱から取り出した。
メイドさんが慌ててたけど、私にもやらせて下さいと言ったら、一緒に並べてくれた。
内用靴は、冬用の物に変わった。
竜皮で出来ていると聞いていたけど、正確には毛皮の方だったみたい。
ドラゴンに毛があるなんて驚いたけど、葎王子によれば、このドラゴンは蛮天南(バンテナ)というドラゴンで、主に千葉、爛、岐附に生息していて、通常の翼竜よりも高く飛ぶためか、体毛があり、羽も羽毛に覆われているんだとか。
私はみんなと一緒に応接間まで来たけど、みんなの視線から、あなたはここまでねという気配を感じたので、私はさっさと退散した。仕事の話のようだし、しょうがないよね。
私は鉄次さんがくるまで、部屋で待機していることにした。