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兄貴。お久しぶりです。
以前手紙を書いたのですが、出せず終いです。
いきなり、変な事を書くようですが、もしかしたら、これは遺書になるかもしれません。
功歩軍が攻めてきた事はご存知ですか?
私は将軍となり、指揮をとる事になりました。
私の軍が迎え撃つのは、どうやら三条一族になりそうです。
あの一族と一戦まみえるのは、栄誉な事でもありますが、命がけでもあります。
だから、このような形で手紙を書きました。
私には、新しく家族が出来ました。
壁という旦那さんと、皇という息子がいます。
もしも、私に何かあったとき、どうかこの二人を、いえ、この国を守ってはくれないでしょうか?
兄貴の実力は、私が一番よく分かっています。
山賊団として名を馳せ、正規軍を追い払う、その力を、どうか、この国の子供達の未来のために使っては下さいませんか?
虫のいい事を言っていると思われるかもしれません。
勝手に去っておきながら、今さらと思われるかもしれません。
でも、私はこの国が好きなのです。
色々な事がありました。辛い事も哀しい事も、人の醜さも知りました。
でも、それだけではありません。
助けてくれる人や、暖かい人もいます。
どうか、その人達のために、剣を取ってはくれませんか?
この国に暮らす人々を、皇を、私の愛する息子と、旦那様を守っては下さいませんか?
どうか、お願いします。
妹の勝手を、お許しください。
畏(かしこ)。
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