山稜に囲まれた谷懐に、その町はあった。
円形状の石塀に囲まれている町は、どうやら城塞都市であるようだ。
「着いたわね」
みつあみが風に僅かに揺れ、セシルは城塞都市、ユルーフを見下ろした。
「ここで、セシルさんともお別れなんですね」
彼女の後ろに乗っていたゆりは、残念がって呟いた。
セシルは振り返って、切なげな瞳でゆりを見つめた。
「そうね。ゆり、寂しいわ」
「私も、寂しいです」
「ワタシはセイセイするぞ」
横に並んだ喰鳥竜の上から、威張るように言った結をセシルはくすっと笑っていなした。
「そう。私は寂しいわよ? 結」
「……ふん!」
不機嫌にそっぽ向いた結だったが、どことなく照れているように感じられ、ゆりはセシルと密かに微笑み合う。
「俺も寂しいなぁ。せっかく友達になったのにさぁ……」
結の後ろで嘆いた雪村に、セシルはにこりと笑いかける。
「私もよ」
「今度遊びに来てくれよ」
「是非行きたいわ。後で住所教えてよ」
「ああ。良いぜ」
軽く弾んで言った雪村を背に、ふくれっ面を送った結をゆりだけが目撃し、苦笑した。
(どんだけ、雪村(あるじ)くんの事が好きなんだか)
そして、ゆりは視線を背後へと移した。
少しだけ離れた位置に、ヤーセルとゼアはいた。
彼らは、丘を登り終えようとしているところだった。
彼らは走って喰鳥竜を追いかけてきていた。
逃げないように、セシルが能力で命令しているため、真っ直ぐにセシルの喰鳥竜を追いかけて来ている。
彼らとは、休憩も一緒に取っていた。
一緒にいる時間があればあるだけ、情も湧きやすくなるというもので、憔悴している程ではないものの、疲れきっている様子の彼らを、ゆりはどことなく可哀想な気持ちで見ていた。
円形状の石塀に囲まれている町は、どうやら城塞都市であるようだ。
「着いたわね」
みつあみが風に僅かに揺れ、セシルは城塞都市、ユルーフを見下ろした。
「ここで、セシルさんともお別れなんですね」
彼女の後ろに乗っていたゆりは、残念がって呟いた。
セシルは振り返って、切なげな瞳でゆりを見つめた。
「そうね。ゆり、寂しいわ」
「私も、寂しいです」
「ワタシはセイセイするぞ」
横に並んだ喰鳥竜の上から、威張るように言った結をセシルはくすっと笑っていなした。
「そう。私は寂しいわよ? 結」
「……ふん!」
不機嫌にそっぽ向いた結だったが、どことなく照れているように感じられ、ゆりはセシルと密かに微笑み合う。
「俺も寂しいなぁ。せっかく友達になったのにさぁ……」
結の後ろで嘆いた雪村に、セシルはにこりと笑いかける。
「私もよ」
「今度遊びに来てくれよ」
「是非行きたいわ。後で住所教えてよ」
「ああ。良いぜ」
軽く弾んで言った雪村を背に、ふくれっ面を送った結をゆりだけが目撃し、苦笑した。
(どんだけ、雪村(あるじ)くんの事が好きなんだか)
そして、ゆりは視線を背後へと移した。
少しだけ離れた位置に、ヤーセルとゼアはいた。
彼らは、丘を登り終えようとしているところだった。
彼らは走って喰鳥竜を追いかけてきていた。
逃げないように、セシルが能力で命令しているため、真っ直ぐにセシルの喰鳥竜を追いかけて来ている。
彼らとは、休憩も一緒に取っていた。
一緒にいる時間があればあるだけ、情も湧きやすくなるというもので、憔悴している程ではないものの、疲れきっている様子の彼らを、ゆりはどことなく可哀想な気持ちで見ていた。