イジワルな笑みが、


「古都との。カラオケ」


 ふわりと、優しい笑みに変わって。


 ドクンって。

 心臓が、大きく揺れ動いた。


「なんで。……そんなこと、言うの?」

「楽しかったから」

「わたし。帰って。泣いたんだよ」


 いろんなことが連続で起きて。

 頭の中、グチャグチャになって。


「桝田くんがっ……、キスなんてするから」


 キスして、謝ったり、するから。


「ごめん」


 その、ごめんって。


「……なんの、ごめん?」


 一方的なキスで、ごめん?

 気持ちがないのにして、ごめん?

 あんな場所で、ごめん?


 …………それとも。


 その、ぜんぶ?


「我慢できなくて。ごめん」


 ――――!


「古都の初めて。あんな形で奪って、ごめん」

「我慢って、なに? 謝るくらいなら、やらないでよ」

「どうしても。止められなかった」