ポテトの入っている紙袋をあけると、それまでも車内に漂っていた香りが更に充満した。


 まったく。

 これくらい自分で食べろ、と思いつつ。


「どーぞ」


 いちばん長そうなポテトをつかんで桝田くんに向けたら、


「……マジでやんなよ」


 引かれた。


「ま、桝田くんが言うからじゃん!?」

「ったく」


 パクっとポテトにかじりつく。

 半分残された。


「あとはオマエ食え」

「なんで!?」

「なんでも」


 なにこのやりとり。


「一宮」

「わかってます。坊ちゃんがおりたら、ただちに消臭しておきますね」


 この運転手、できる。

 そして桝田くんの強い味方って感じ。


「まあまあだな」って言いながらもパクパク食べてる桝田くんが可笑しくて、声に出して笑った。


 ポテトとハンバーガーを完食した頃に着いたのは、趣のある日本家屋が広々とした庭に立ったお屋敷。

 …………何坪あるの?